~3会合同の学術総会・GIウイークとして開催~ 実地医療におけるカプセル内視鏡 Vol.3 -1-

 
 

 2015年2月14日(土)及び15日(日)の二日間に渡り、京王プラザホテルにて「第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会」が開催された。テーマは「実地医療におけるカプセル内視鏡 ―皆で学ぼう正しい適応、正確な診断―」。

 
20151108_vol.3_p1_春間先生

 今回の学術集会は、第11回日本消化管学会総会学術集会、第47回胃病態機能研究会との合同開催。これは初の試みであり、2月13日から15日までの3日間を「GI Week」と称した。
 本学術集会会長は川崎医科大学消化管内科学の春間賢教授。開会にあたって「今回の学術集会は、実地医科の医師だけではなく、読影支援、カプセル内視鏡検査支援を担っているコメディカルにも多数参加していただこうと、こういうタイトルで開催させていただきました」と挨拶。かつては大学病院などの大きな組織でしか行えなかった検査だったが、最近ではクリニックにも拡大しつつある状況も考慮してのことだという。基調講演を加えると発表された演題は70題に及び、スペインから招聘したドクターによるトレーニングに関する講演も盛り込まれ、会場には700名を越える医療関係者らで賑わった。
 
 主題は現在問題となっている「アスピリン製剤による胃・小腸・大腸粘膜傷害」、「大腸カプセル内視鏡の使用経験と工夫」、そしてコメディカルの方々を中心とした「カプセル内視鏡画像の読影支援と読影精度の向上」、この3つである。
 
 カプセル内視鏡検査は、当初小腸病変の診断を目的として行われてきたが、2014年1月、大腸疾患の診断にも保険が適用された。その適用範囲は、大腸内視鏡検査が必要であり大腸ファイバースコープを実施したが、腹腔内の癒着などにより回盲部まで到達できなかった場合など制限はあるものの将来に向けた期待も大きい。

 
20151108_vol.3_p1_学会の様子

 カプセル内視鏡検査を実施するには、効率よく正確な診断を行う体制づくりが必要だ。医師だけではなく、コメディカルも含めて様々な議論がなされ、正しい適応を学び診断力を高めることが欠かせない。今回の学術集会では、こうした背景も踏まえてか、医師のみではなくコメディカルからの演題も数多く発表され、それぞれの立場や経験に基づいた考え方、技術論などについて活発な議論が交わされた。
(※所属・役職は学術集会当時のもの)
 
 
 

【トピックス】
電波干渉に注意

 「病院では携帯電話の電源を切るように」― ひと昔前はよく言われていたことだ。今はかなり緩和されてきたが、電波干渉という問題は完全に解決されているわけではない。その電波干渉の影響でカプセル内視鏡に画像が記録されないことがあるのをご存知だろうか。
 
 長崎県の虹が丘病院では、大腸カプセル内視鏡の検査中にデータ障害が発生した。その原因を調べたところ、院内のテレメーター(いわゆる心電図モニター)と大腸カプセル内視鏡との間で電波干渉があることが判明した。消化器内科の増田淳一部長は「まったく予期していませんでした。メーカーなど関係者の協力のもと、電波環境の調査を行ったところ、大腸カプセルと医用テレメーターの周波数が干渉していたことが判明しました」と振り返る。その後、①検査は電波干渉の少ない部屋で行う②検査の度に電波状況のチェックする③検査中は電波干渉防止ベストを着用する、などの対応策を講じている。
 
 増田部長は「電波干渉はどこでも起こりうると実感しました。でも、病院内に限ったことではありません。飛行機の中でも電波を発信する電子機器は電源を切るように言われますから。逆に電波環境を調べられて良かったと思っています。安心して検査をできるようになりましたから」と語る。
 
 将来、電子機器が増えていくことを考えると院内は今以上に混線してくる可能性がある。カプセル内視鏡を採用するときは、検査室や患者さんが通る廊下や階段など電波状態を調べておくことが欠かせない時代になっているようだ。

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