投稿日: 2016年12月16日 11:15 | 更新:2016年12月16日11:15
社会医療法人社団 木下会
千葉西総合病院
院長兼心臓病センター長
三角 和雄
みすみ・かずお●東京医科歯科大学医学部卒。医学博士。東京医科歯科大学臨床教授。1985年に渡米し、ニューヨーク医科大学、カリフォルニア大学、ピッツバーグ大学、UCLAグッド・サマリタン病院を経てハワイ大学臨床助教授。2004年から千葉西総合病院院長。日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本老年医学会認定老年病専門医。
上の写真は、心カテーテル室を一元管理するカテーテルスタジオから指示を出している様子
心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が閉塞する心筋梗塞及び狭心症、血液の逆流を防ぐ心臓内の弁が働かなくなる弁膜症、破裂することで大量出血を引き起こす大動脈瘤など、心臓では重症化することで生命にも関わる疾患が数多い。この、心臓を含めた全身の血管に対する治療で、国内トップクラスの実績を持つのが、千葉西総合病院だ。
同院の大きな柱となっているのが、三角和雄院長を中心とするチームで行われる、心筋梗塞及び狭心症に対する心カテーテル治療だ。チーム全体で年3200件(2015年1〜12月)という症例数を誇り、三角院長も医師による評価を基とした「The Best Doctors in Japan」に5期に渡って選出されている。こうした国内随一と言える実績の背景には、「1日に100人、さらにはそれ以上の来院だろうと絶対に診ます」という三角院長の強い意志があるだろう。心疾患は治療までに時間をかければ、その間に危険な状態に至る危険性も少なくない。そうならないよう、全国から来院する患者を紹介状の有無を問わず、待ち日数なく受け入れ、治療が必要であれば1日以内に実施。フォローアップまで自ら対応し、遠方の患者であれば自宅近隣の医師の紹介まで行っていく。
さらには、「心臓だけでなく、全身の血管まで診られなければならない」というスタンスのもと、足の血管が閉塞する末梢動脈疾患(PAD)に対してもレーザーや、特殊なドリルで血管のつまりを解消する最新のクロッサーシステムを活用した血管内治療により、従来困難だった膝下や足先の血管まで含めて治療していく。頸動脈狭窄に対する頸動脈ステントに積極的なのも循環器内科としては珍しく、高難度症例に充実した脳神経外科チームが介入できる体制のもと、年平均100件、累計800件(08年4月〜15年12月)と、国内有数の件数を実施してきた。
三角院長が追い求める全身の血管への治療には、循環器内科と共に「ハートチーム」を構築する心臓血管外科の存在も欠かせない。心臓血管外科では堀隆樹医師や中村喜次医師を含めた7名の医師で、心移植以外のほぼすべての手術を24時間365日実施できるようにしている。特徴的なのが、低侵襲化を積極的に進めていることだろう。
同院では、心筋梗塞・狭心症に対する冠動脈バイパス手術や、弁膜症に対する弁置換術において、わきの下の小さな切開から心臓にアプローチするMICS(低侵襲心臓手術)をほとんどの症例で採用している。「胸骨中心部を縦に大きく切開していた従来法と異なり、MICSでは5センチ程度の創で済みます。術後の回復も早く、退院までの期間を短縮できるだけでなく、退院後も比較的早期から運動や力仕事が可能になります」と説明する堀医師。同時に開胸しない治療法も積極的に導入。血管内から腹部・胸部大動脈瘤のある部位に人工血管を留置するステントグラフトを早くから実施してきた他、大動脈弁の最新治療である経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)も院内で独立して行えるようにしている。
低侵襲化の取り組みを進めてきた結果、循環器内科と連携するハイブリッド手術も積極的に手がけるようになったという。「特に高齢の方では、複数の血管に狭窄を生じていることがあります。その際、冠動脈バイパス手術が望ましいものだけをMICS、残りを心カテーテル治療で行うといった症例も増えています」と中村医師は説明する。
同院では、より多くの患者を救うため、最新の機器も積極的に導入してきた。実際に三角院長も、冠動脈を詰まらせる石灰化病変を砕くロータブレーターや、血栓を蒸散させるエキシマレーザーといった先進的な機器を駆使。心カテーテル治療と冠動脈バイパス手術が共に不可能な冠動脈の慢性完全閉塞を治療できるよう、最新の低周波衝撃性血行再建術も導入している。
病院自体にも先進的な設備が揃う。特に目を引くのが手術室を兼ねるハイブリッド・ルームを含めた全7室の心カテーテル室、さらにはそれらを一括で制御するカテーテル・スタジオだろう。多くの患者に高度な心カテーテル治療を提供するために作り上げた、世界初と言える設備であり、その中で三角院長が各部屋の心カテーテル治療の様子を確認し、難易度の高い症例や自身の患者を直接施術していく。こうした治療を支える検査機器も充実しており、血管内の状態を詳しく把握できる血管内超音波(IVUS・OCT)やカテーテル治療の適用を厳しく精査するFFR・CFR、心筋RI検査機、マルチスライスCTなどを活用し、正確な診断を実現させている。
2015年に循環器内科で血管内を直接観察できる血管内視鏡、2016年には泌尿器科において最新のロボット支援手術システム「ダビンチXi」を導入するなど、同院は今なお医療の質を高めることに余念がない。
ただ、このように高度な治療を行える体制を築くことにも力を入れる一方、三角院長は「当たり前のことを確実に行う」ということを何よりも大切にしてきたという。「奇をてらうことなく、標準的な治療を確実に行い、100%成功して合併症も起こさない。それが最も大切なことなのです」。そのように、一例一例に対し、決して油断することなく真摯に向き合っている三角院長を中心として、同院では全国から数多くの患者を受け入れている。
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【病院仕様】
1 本館:地上9階、地下2階、アネックス館(別館):地上4階
2 免震・RC構造、コンクリート強度60N/㎟
3 病床数608床、ICU24床
4 検査・治療機器:CT256列1台、CT128列1台、CT 64列 1台、3.0T-MRI 1台、1.5T-MRI 1台、SPECT-CT 2台、心エコー 6台、血管造影室 7室、内視鏡室 5室、手術室 11室(ハイブリッド1室)、超特室 1室、特室 6室