投稿日: 2016年12月16日 11:06 | 更新:2016年12月16日11:06
医療法人社団 聖医会
ことうだ腎クリニック・池永腎内科クリニック
栃木県で質の高い透析医療を提供してきた、ことうだ腎クリニックと池永腎内科クリニック。両院は2017年に統合し、医療法人社団聖医会グループを立ち上げることとなった。両院の長所を併せ持つ、栃木県最大級の人工透析グループとして、県広域に質の高い医療を提供する。
血液を体外に循環させて老廃物を取り除く人工透析は、末期の腎不全などで腎臓の機能を失った患者にとって、命をつなぐために重要な治療だ。ただ、現在では医療の地域格差が問題視されており、それは人工透析でも例外ではない。その解消の一つの方策と言えるのが、栃木県南部の下野市に位置することうだ腎クリニックと、栃木県北部の大田原市に位置する池永腎内科クリニックの取り組みだろう。
両院は2017年1月に運営を統合し、「医療法人社団聖医会グループ」を立ち上げる。一般的に一人の医師のみが常勤として治療にあたる透析施設が多い中、両院ともに複数の常勤医が在籍しており、充実した設備も活用しつつ、腎臓病・人工透析のかかりつけ施設として地域の信頼を集めてきた医療機関だ。それぞれ、安定した施設運営をしているにもかかわらず、あえて統合を決意したのも、時代に合わせた最適な医療を長期的に患者へ提供することを目指したからだという。「もともと親交があり、お互いの考え方が一致していたため、友好的に統合は進んでいきました。患者さんのために設備やスタッフを充実させ、透析医療を長期的に継続させるためには、理念を共有した上で、手を組むことによるシナジー効果が必要だと考えたのです」と、ことうだ腎クリニックの小藤田篤院長は語る。
両院の統合によって、栃木県北部と南部の広い範囲で、高度な医療が提供できるようになるという。代表的なのが、人工透析で出入り口となる血管の手術「シャント」に関する治療だ。
シャントは手首の動脈と静脈をつないで造設する必要がある他、閉塞のようなトラブルが起きれば血管内治療などでの対応が必要になる。「これらシャントに関する治療が栃木県北部の透析医療における一番の弱点でした。今までは造設の手術や、トラブル時の対処を専門的に行う施設がなかったのです」と語る池永腎内科クリニックの池永秀樹院長。それが、ことうだ腎クリニックの協力によって改善できるのだという。
もともと、ことうだ腎クリニックはシャントに関する治療全般に力を入れており、その総数は2016件(2010年5月〜16年10月)と、地域で有数の実績を持つ。手術の中心となるのが、外科の宮本直志医師。長年シャント手術や腎臓移植に携わってきた経験を持ち、小藤田院長からもその血管縫合技術には厚い信頼を寄せられている。
実際、宮本医師は「心臓に余計な負担がかかることなく人工透析がスムーズに行え、長期に渡って維持できるような完璧なシャントを作ることをモットーにしてきました」との言葉通り、確実な手術を実践してきた。結果、術後の出血や、血液が正しく流れないような事態を過去6年間でほぼ起こしていない。その信頼性の高さが、すべての手術を日帰りで実施していることにもつながっている。
また、手術だけでなく、最新の血管造影装置も活用して行われる、閉塞したシャントを再開通させる血管内治療(VAIVT)についても、2010年5月〜16年10月で7144例と豊富な実績を持つ。そこから、「基幹病院や大学病院も含め、他の医療機関からほぼ毎日と言えるほど、シャント治療に関する患者さんの紹介も受けています」(三木真紀医師)と、地域の信頼も集めてきた。これらのシャント治療を同水準で行うため、池永腎内科クリニックでは新しく手術室を設置。ことうだ腎クリニックの医師が赴いて手術を行える体制を整えるという。
一方で、ことうだ腎クリニックにおいても、今までは常勤として在籍していなかった循環器内科医が池永腎内科クリニックから定期的に診察に来るようになることによって、診療の幅が広がっている。「透析の方の死因として多いのが心不全や心筋梗塞といった心疾患です。高齢の方、若い方共に発症率が上がってくるので、それらを未然に防げればと思っています」。そう小野田正文副院長が語るように、以前から池永腎内科クリニックでは、心エコーや心電図も用いつつ、危険な徴候を迅速に見つけ、適切な治療を行ってきた。たとえ万が一緊急事態に陥った場合もスムーズな対応が可能だ。こうしたメリットがことうだ腎クリニックでも享受できるようになる。
加えて、循環器内科は心臓の冠動脈の狭窄を解消するために、カテーテルを用いた治療を積極的に行っている診療科でもある。その技術がシャントへの血管内治療を含めた透析医療にも役立つという。「人工透析で多い合併症として、足の血管が詰まって切断の原因にもなりかねないPAD(末梢動脈疾患)も挙げられます。ゆくゆくはその治療にも携われればと思います」と家村知海医師。将来的にはさらなる治療の拡充にもつながることだろう。
両院がお互いに地域や治療内容を補い合うと共に、透析ベッド120床という規模の大きさを実現。その上で、外科と内科それぞれのエキスパートによるチーム医療を実践するほか、浸透圧に加えてろ過でも血液中の老廃物を取り除くオンラインHDFや、通常よりも時間をかける長時間透析など、先進的な人工透析も導入。地域において実施施設の少ない夜間透析も両院で積極的に実施し、さらに県内唯一の在宅透析導入維持施設としても機能している。
こうした、まさに栃木県随一とさえ言えるほどの治療内容の豊富さ・設備の規模をもとにして、小藤田院長は、「高い技術を患者さんファーストで提供する」ことを追求し続けるという。「良い医療を継続的に提供するためには、経営基盤が盤石であることも確かに求められます。ただ、その実現には、営利主義に走ることなく、患者さん本位の医療を実践することが結局は近道なのです」。高度な透析医療で地域に貢献し続けるためにも、両院でさらなる躍進を目指す。
- Information
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ことうだ腎クリニック
〒329-0413 栃木県下野市駅東5-13-16
【シャント診療アクセスコール】フリーダイヤル 0120-102-883
TEL.0285-44-8345 FAX. 0285-44-5300
http://www.kotoda-jin.com/vas/
【診療科目】内科、外科、腎臓内科、循環器内科、内分泌代謝内科、漢方内科
【診療時間】月~土9:00~12:00 月・水・金15:00~17:00
【休診日】日・祝
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【診療科目】内科、腎臓内科、循環器内科
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