投稿日: 2017年5月17日 10:48 | 更新:2017年5月17日10:48
医療法人社団望洋会 のぞみ記念 | |
「もともと心臓血管外科でも透析患者さんの治療に関わることは多かったので抵抗はありませんでした。それでも、いざ人工透析に携わってみると、非常に学問的に奥深いと感じたのです」。そう振り返る花房雄治院長は、心臓血管外科医として病院などで勤務した後、静岡県下田市で人工透析を軸に地域医療に携わるようになった経歴を持つ。
その上で、透析医療と心臓血管外科との親和性の高さも感じるようになったという。「透析患者が心血管疾患を発症しやすいということだけでなく、治療に必要な全身管理は心臓血管外科でも重視されています。加えて、血液を体外に循環させるシャントを作成するためには、血管への手術を行う必要もあります」。そうした経験を生かして透析医療に含まれる多様な治療を一貫して提供するだけでなく、学会への参加や論文・発表などを通じて知識も深めてきた。
治療に携わる中、下田市の地域医療にも次第に目を向けるようになったという。「来た当初は、医療体制の大都市圏との格差をつくづく感じました」との状況ではあったが、その中で地域を担う重責を背負えるよう、透析に加え、循環器や呼吸器、糖尿病治療など幅広い分野に携わってきた。
診療体制の拡充に応じて新築移転したことで規模も拡大し、多くの患者を受け入れている。ただ、それでも1施設だけでは限界があるのが現状であり、地域全体で医療のさらなる充実が必要だと強調する。「この地域で第三次救急医療機関に搬送するには、1時間以上かけて天城を超えなければならないのが現状です。特に夜中はドクターヘリも飛ばせません」。実際、第二次・第三次救急医療機関に搬送される必要がある患者を夜間に診続けたことも一度や二度ではなかったという。「救急医療が不十分であることから、助けられる命が助けられないかもしれないジレンマがまだまだこの地域にはあるのです」と、自らもできる範囲で地域医療に貢献しつつ、さまざまな形で現状の改善を訴えたいという。