投稿日: 2017年5月17日 10:51 | 更新:2017年5月17日10:51
医療法人沖縄徳洲会 | |
宇和島徳洲会病院の貞島博通総長は、福岡県の病院で20年近く内科に在籍し、リハビリテーションや救急医療、総合診療などに携わってきた。その後、鹿児島の住民1万人程度の地域にある70床程度の病院に派遣されたことが、地域医療に目覚めた契機だったという。
福岡県の病院が600床規模であり、そこで勉強したことを78床の病院で実践するのは簡単ではないかと思っていた貞島総長。実際に着任して、その認識が誤っていたことを痛感したという。「地方での医療は、都市部の大きな病院とは異なるものでした。顕著なのが、患者さんの病院外での日常生活を支えることまで求められること。例えば患者さんを送迎バスで迎えに行き、治療後に送り届ける途中で、買い物を手伝うことなども時に行います」。そこで、次第に生活を見る地域医療に興味を抱くようになったのだ。
その後、貞島総長は宇和島徳洲会病院に着任。ここでも、地域住民の生活を支えるために必要なことを考えぬいた末、当時不十分だった認知症医療に力を入れるようになった。「認知症は、患者さんの診断・治療だけでなく、介護するご家族のサポートも必要。そこで、併発する他の疾患も診られる総合病院が対応しなければならないと考えました」
貞島総長が行ってきた、地域に根ざした医療を中心とした取り組みの結果、同院の医療も地域に浸透してきた。現在の目的に掲げているのは、地域医療の中でどのように認知症を診られる総合診療医を育てていくかだ。その一環として、全国でも数少ない「認知症も診られる総合診療医」を育成するシステム構築に取り組んでいる。「病院だけでなく、住民の方々と一緒に地域を盛り上げるアクションを起こすことが、今ここに求められる地域医療ではないかと思っています」