投稿日: 2017年10月30日 10:31 | 更新:2017年10月30日10:31
社会医療法人医真会グループ
医真会八尾総合病院
医真会総合クリニックス
大阪府八尾市の医真会八尾総合病院は、従来より内視鏡分野に力を入れていたこともあり、内視鏡検査対象が観察から内視鏡治療までと拡大している。内視鏡検査の増加に伴い同病院の内視鏡センターだけでは対応しきれなくなってきた。
そのため2016年、より細やかな医療の提供を目指し、外来部門を独立させた隣接の医真会総合クリニックスで外来患者さんの内視鏡検査を行える体制を整えた。電子カルテや検査画像などの情報を共有しており、検査から治療までを両院で完結させている。現在では、上部消化管(胃、食道など)の内視鏡検査については同クリニック、大腸内視鏡や胆管疾患に対する内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)といった特殊検査、消化管の早期がんへの内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などの内視鏡治療は同病院で行うなど、連携を取りつつ内視鏡検査・治療を実施している。鶴薗卓也副院長は、「これにより、1件ごとの検査時間が長い大腸内視鏡を増やし、救急外来から発生する緊急内視鏡の迅速化が可能になりました」と語る。
同クリニックで行われる上部消化管内視鏡検査については、来院した人に対し、事前に食事をとっていなければ当日中に胃カメラの検査が受けられる。一度来院し、検査日は後日となることが多い胃カメラ検査が、一度の来院で済むのは、受診者にとって大きなメリットとなる。
また、同院では緊急の内視鏡に対して24時間体制を敷いている。「消化器内科医師以外の当直の場合も、院外コールがあればすぐに対応を可能にし、看護師についても内視鏡に対応できる者が、夜間も常に一人は勤務しています」と鶴薗副院長。対象となる疾患は胃潰瘍による緊急の吐血が最も多く、その他肝硬変からの静脈瘤の破裂や、腸閉塞などがある。「腸閉塞は救急患者の多い疾患ですが、消化器内科で診断し手術の必要な症例は外科医に相談し、それ以外は消化器内科で診療します。経鼻内視鏡を使って減圧チューブを留置しています。従来の透視下での留置に比べ短時間での確実な留置が可能になり患者さんの負担はかなり減っています」と石川昌利医師。
また最近では、大腸がんによる腸閉塞に対する大腸ステント留置術を積極的に行い外科医と連携し治療を行っている。大腸ステントの装置を常備しスタッフ間で勉強会を開催し、挿入を熟知するようにし、その結果、遅くとも翌日までには行えるようにしている。それを迅速に行えるのも、同クリニックとの分化によるところが大きいという。
日本肝臓学会認定肝臓専門医でもある石川医師をに内視鏡検査、治療以外の消化器、肝臓疾患にも力を入れている。特にピロリ菌は、胃カメラ検査を受けて感染が見つかれば除菌を行うことができる。またウイルス性肝炎に対しては、近年、新薬の開発によって内服薬のみでの治療が可能となった。薬物療法は増加し、それに伴い消化器内科の重要性も増すといわれる。石川医師はこのことにも触れ、「我々はいい薬を届ける窓口です。肝疾患一つとっても、肝臓だけ診てあとは知りませんというわけにはいきません。総合的な診断のためにも、私も常に知識の向上を図っています」と語る。
「地域医療に少しでも貢献したい。救急患者はもちろん、普段通院している患者さんに対しても、定期的に内視鏡検査を行うことで早期発見、そして発症したら早期治療に努めたい」と鶴薗副院長。患者さんがつらくないような内視鏡検査を心がけ最善の治療を提供するとの思いから、同院の医師たちは今日も日夜治療にあたっている。
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