当院は、佐竹修太郎不整脈センター長の開発したホットバルーンによって世界的にも知られており、２０１９年の米国不整脈学会会場で映像による紹介をされたことも記憶に新しいところです。

　２０１６年にホットバルーンが保険償還されて以来経験を積み重ねることで、我々はその有効性をますます実感するところとなっています。塞栓症を予防する目的はもとより、心不全治療の重要な治療戦略として薬剤によらない心房細動治療の重要性はますます高まっていると言えましょう。

　我々の治療の対象は、発作性心房細動はもとより、左房容積の拡大した難治性心房細動、肥大型心筋症や拡張型心筋症に合併し心不全を伴った心房細動、開心術の既往のある心房細動など、多岐にわたっています。基礎心疾患を伴う場合や、開心術後慢性期の場合には、ひとたび心房細動に移行すると容易に心不全を発症することから、非薬物療法による洞調律の維持は非常に重要です。

　当院では麻酔科の協力の下、痛みが極めて少ない治療を実現しています。仮に困難な症例であっても、通常の治療で洞調律の維持が困難になってきた場合には、迷わず時期を逸さずに非薬物療法に進むことをお勧めします。