- 神奈川県
横須賀市立うわまち病院
高血圧の合併症もケアし、
患者さんの負担軽減に努める
血圧の高さを気にせず、放置する人も
神奈川県の南東部、三浦半島の北部に位置する横須賀市。かつての軍港都市は、今や温暖かつ風光明媚な海岸線に恵まれた中核都市として賑わう。
中心市街地からほど近くの高台に、横須賀市立うわまち病院はある。病床数417床、半径約10㌔以内の横須賀・三浦医療圏をカバーする基幹病院として、地域医療に貢献している。
同院が予防と治療が急務と訴えるのが高血圧だ。数ある疾患の危険因子の1つでサイレントキラーと呼ばれ、慢性腎臓病などの罹患率、死亡リスクを上げる。厚生労働省がまとめた統計では脳心血管病死亡の約50%が120/80㍉Hgを超える高血圧が起因とされている。厚生労働省の調査によると、高血圧人口は約4300万人(2022年現在)。そのうち、1400万人が自身の高血圧に無自覚で、認識していても未治療の人が450万人と治療が浸透していない。
「高血圧が長引くと、心臓は血液を押し出すたびに過剰な労力を使い、心筋が厚みを増して硬くなります。心臓のポンプ機能が衰え、血液を十分に取り込めず、不整脈や心不全を起こすこともあります。当院は高血圧の治療を広く呼びかけ、患者さんを重篤な疾患から守るよう努めています」と語るのは沼田裕一院長だ。
門戸を広くして、患者さんに合った治療を提供
では、高血圧治療にどう取り組むのか。腎臓内科部長の志村岳医師は患者さんへの食事指導の重要性を訴える。
「血圧は塩分の摂取量を減らせば下がります。コンビニ弁当などにある成分表示表の見方など、減塩のための食事指導が重要です。高血圧は治る可能性があり、早く治療を始めるほど効果的。患者さんには、塩分制限をして生活習慣を見直すよう呼びかけています」(志村岳医師)
副院長で循環器内科部長の岩澤孝昌医師は多角的な視点から診療する必要性を説く。
「原発性高血圧なのか、あるいは副腎からのホルモンの分泌過剰で起こる原発性アルドステロン症などの二次性高血圧なのかを見極め、特徴的な所見に正しくフォーカスした治療を心がけています」(岩澤孝昌医師)
広い門戸で受け入れた後、患者さんに合う、適切な治療を提供するのも同院の特徴だ。
「高血圧だけを持つ人は少数で、動脈硬化性疾患など、他の疾患を併せ持ちます。患者さんが疾患ごとに病院内を右往左往しないよう、当院は疾患全てを包括的にみて、患者さんの負担軽減に努めておりますのでお気軽にご受診ください」(沼田院長)
院長
沼田 裕一
副院長・循環器内科部長
岩澤 孝昌
腎臓内科部長
志村 岳
医療新聞社
編集部記者の目
同院は理念として「敷居が低く間口の広い病院」を掲げている。その思いは今回の取材でも何度も聞くことができた。
「まず、来院して頂くことが先決です。血圧を測りに来て、ご自身の体の状態を把握してもらうだけでも結構です」と沼田裕一院が大きくうなずく。
1891年(明治24年)に横須賀衛戍病院として創設されて以来、地域医療に貢献。これからも、横須賀・三浦医療圏の基幹病院として、責務を全うしたいという沼田院長。特に今、患者さんに知ってもらいたいことがあるという。
「昔は無理でも、今の医療はできる、もしくは、ここまでできる、やればなんとかなるということが実に多い。それを患者さんにお教えするのも、医師の大事な仕事です。ですから、来院して、ご自身の体について、さらには治癒の可能性について、いっぱい知ってもらいたいのです」
患者の健康を願う、熱い思いが伝わってきた。
Information
横須賀市立うわまち病院
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