投稿日: 2016年8月20日 13:42 | 更新:2016年10月7日11:57
医療法人 かぶとやま会 久留米リハビリテーション病院 しばた・はじめ 理事長・院長 柴田 元 先生 【経歴】 1977年に久留米大学医学部卒業後、同第3内科入局。その後、大阪国立循環器病センタ—、産業医科大学リハビリテーション科などを経て、97年から現職。日本循環器学会認定循環器専門医、日本リハビリテーション医学会認定リハビリテーション科専門医。 | |
国立循環器病研究センターなどで循環器疾患に携わる医師として実績を重ねていた柴田元院長。福岡県久留米市で明治時代から続く病院の5代目として跡を継ぐ決心をし、先代が地域のニーズに応えて取り組み始めたリハビリテーション医療に携わることになったという。「当時、この分野はまだ黎明期。もっと専門性の高いリハビリテーションを提供して、より多くの人の役に立ちたいと思いました」と柴田院長。もともと心臓リハビリテーションには熟達していたが、リハビリを根本から学び直す必要性を感じた。病院運営をしつつ産業医科大学でリハビリテーション医学を勉強していったという。
「例えば心臓病や呼吸器疾患をお持ちの方や重度障害のある方、人工呼吸器を付けた方などのリハビリテーションにも対応できる専門的技術の研鑽に努め、一人でも多くの患者さんの在宅復帰を目指してきました」。スタッフや設備などの充実も図っていった結果、一円の急性期病院からの患者の受け入れ要請も増え続けている。
「リハビリテーション医療は単に疾患を治療してそれで終わりというものではありません。全人的医療であり、あらゆる障害を持つ人たちの生活や人生の質を向上させていくという大きな目的がある。患者さんだけでなく、そのご家族の人生も背負っているとも言えるのです。私たちの責任は重く、その分やりがいも大きいと感じています」と柴田院長。
久留米市介護認定審査会会長やNPO法人くるめ地域支援センター理事長なども務め、福祉や介護の分野なども含めた大局的見地でリハビリテーション医療を捉える。今後の大きな課題は町づくりだという。「制度改革で重い障害を負っても長期入院ができなくなってきました。家や地域でどう看ていくのか。これからは障害のある人などを温かく包み込む、包摂型の社会づくりが大切になってきます」。すでに地域住民や有識者らと共に新たな地域づくりやシステムづくりに動き出している。