【連載:在宅医療 北から南から】001 長野 宏昭(沖縄)第2回

【連載:在宅医療 北から南から】001 長野 宏昭 先生(沖縄)第2回

2025年問題が迫る中、高齢化が加速し、在宅医療が重要な時代となっています。本連載では、在宅医療の現状、課題、未来を伝えることをテーマに、実際の現場で活躍されている医療従事者の皆さまに、明るく、楽しく、わかりやすく語っていただき、在宅医療の認知浸透を図るとともに、在宅医療を検討したい患者様とそのご家族様に、在宅医療を知っていただくことを目的にしています。
在宅医療に携わる医師リレー「在宅医療 北から南から」の長野 宏昭 先生シリーズの2回目は現在編として、開業された自院について、長野先生の一日、さらに沖縄の特色についてお話いただきました。
いきがいクリエーションとの協業にて運営
—「いきがい在宅クリニック」について教えてください、スタッフ何名で診療にあたっていますか
雇っている人はいないです。私一人です。すごくユニークな働き方をしています。私は「いきがいクリエーション」の横に開業したので、すべて揃っているんですよ。訪問看護もあって、在宅や居宅もあって、そういう高齢者施設も持っている。「いきがいクリエーション」のスタッフがいるんですけど、彼らが私をバックアップしてくれてます。
—「いきがいクリエーション」とは良い関係ですね
そうなんですよ。お互いウインウインで、彼ら(いきがいクリエーション)はドクターが来ることによって新規の紹介をより多く受けることができ、ドクターとセットで訪問診療と一緒に看護も入ってくださいとか、そういう紹介が多くなった。私は私で、この業務を手伝ってもらえるというところで、すごい助かっています。
—1日にどれくらいの患者さんを診ていますか
1日、そうですね、だいたい6件から8件くらいの訪問をしています。週4回ですね。で、週1回は中部病院で呼吸器内科をやっています。専門の診療までやっていて、中部病院との繋がりはすごく大事。重要視していて、中部病院への恩返しじゃないですけど、病院との太いパイプはずっと持ち続けたいな、と思っています。週2日はもう完全に休みですね。
—ひと月の延べの患者さんの数はどれくらいでしょうか
初診、再診あわせたら、100人強くらいでしょうか。そんなに多くはないんですが、当院の特徴としては、とにかく看取りが多いこと。私一人でこの1年間で80人くらいの方をお見送りしています。わりと紹介になってからすぐに看取りになったりする人もいて、癌のターミナル(終末期)ですかね。終末期の方も結構たくさん診ているっていうのが特徴ですね。
地域の看取り、沖縄市の看取り、在宅の看取りの、そうですね、3分の1から4分の1くらいはうちで看取ったんじゃないですかね。
高齢者施設での看取り勉強会
onとoffを切り替えての沖縄ライフ
—勤務されている日の一日の流れを教えてください
まず事務所に出勤して、朝9時くらいから訪問開始して、昼帰ってこれたら帰ってきて、休憩してからまた午後の訪問へ、という感じです。5時までにはなるべく帰ってくるようにしています。
というのは、他の職種、看護師さんとか他の職種の方にあんまり残業してほしくないので、5時以降の訪問は、緊急がある場合は除いてはあまり入れないようにしてます。
—オンコール呼び出しの状況はいかがでしょうか。
はい、24時間対応しています。日勤帯や夜勤帯もなく、全部自分が対応しています。
ただ、このようなことを話すと、在宅が24時間×365日みたいな印象になり敬遠されてしまいますが、私、結構、出張に行っていますし、お酒も結構飲んでます(笑)。やっぱり今を楽しみたいっていうのがある、あとですね、沖縄往診サポート(OHS)っていうNPO法人を作ったんですよ。
—なるほど、OHSについて教えてください
はい、これは機能強化とか連携グループの枠を超えて、沖縄全体で、ドクターの不在時に代診を引き受ける先生を探すというものになります。
今回のフォーラム(日本在宅医療コングレス)に行くときもOHSを利用しました。私がいない間は、他の病院の先生が緊急の看取りとかに対応してくれるという状態を作りました。
—OHSには何名くらいのドクターが登録されているのですか
今のところ、7、8名くらいですかね。
誰でもいいわけじゃなくて、やっぱりちゃんと在宅での経験があって、ちゃんと私の代わりに診てくれるっていう、信頼できる先生にやっぱりお願いしないといけないので、誰でもOHSに入れるわけではないです。
一応、私がその代表、代表理事が新屋洋平先生、私が理事ということになっています。
—土日は基本的にお休みとのことですが、いかがお過ごしされていますか
休日はそうですね、私はぼーっとするのが好きなので、なんかぼーっとしたりしています。あと、息子がいるんですけど、息子と遊びに行ったりとか。で、やっぱり大好きな音楽ですね。沖縄交響楽団に入っていて、週一回練習があって、結構続けるのは大変なんですけど、仲間とやっています。
病院内でのクリスマスコンサート
自然と異国情緒が魅力の沖縄
—沖縄で必ず行ってほしい、見てほしいところを教えてください
私はやっぱり自然が好きなんですよ。自然をやっぱり見て欲しいなっていうことで、海ですかね。
歴史も好きなので、城(ぐすく)、首里城以外にもたくさんあって、昔の資料が残っていて、勝連城(かつれんじょう)や中城城(なかぐすくじょう)などもあって、お城に上って景色を見渡したりとかですね。そして、サンセット、日没の瞬間はすごい綺麗です。観光やショッピングもいいですけど、やはり自然をおすすめしたいです。
(イメージ画像)
—必ず食べてほしいもの、飲んでほしいものは?
どれも美味しいですけど、沖縄そばでしょうか。みなさん食べられるので。お野菜の種類とかも豊富で、あんまり本土では売れていない野菜とかもあります。あと、アメリカンな感じなので、ステーキやタコスなどが美味しいですよね。
—私だけが知っている「沖縄の穴場」、教えてください
クリニックの診療圏内の北谷町(ちゃたんちょう)にあるアメリカンビレッジです。外国人しか歩いていなくて、もう日本じゃない感じのところです。あとは、アラハビーチ、サンセットがすごく綺麗です。
—最終回の3回目は未来編として、長野先生が目指す在宅医療について、ご自身が行っていることや国・行政にお願いしたいことを語っていただきます。
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