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周囲に支えられた家庭と仕事の両立
関連病院で得た知識と経験を生かし、開業に至る


チヒロ皮膚科医院
 
やすなが・ちひろ
院長 安永 千尋 先生
 
【経歴】
大阪市立大学医学部卒業。大阪市立大学附属病院、大阪市立総合医療センター、星ヶ丘厚生年金病院、医誠会病院、池田回生病院を経て現職。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。
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医局や恩師のサポートが医師としての人生を輝かせる

5 チヒロ皮膚科医院の安永千尋院長が皮膚科医の道を選んだ理由の1つは、周りの医師達の穏やかな雰囲気だという。もう1つは生活習慣が影響しやすい疾患を担う診療科で、生活の知識に長ける女性としての強みを生かしたいと考えたからだという。安永院長は「医師として一生働き続けたい」という信念を持ちながら、研修医から4年を経て結婚、そして双子を出産する。それからも無我夢中で働き、どのように育児を行ってきたか詳しく覚えていない程だという。そうした環境で勤務を続けられたのは、仕事のペースを緩めることに周囲の理解があった点が、とても大きかったと安永院長は振り返る。「女性の先輩方が多く、居心地の良い医局でした。独身の頃に比べ、仕事のペースを落とさざるを得なくなった時でも『こまったなあ』『しょうがないなあ』とおっしゃりながら、教授をはじめ上司も理解を示していただけたのが、運が良かったと思います」
 
 安永院長は在籍した関連病院でさまざまな新しい治療や専門知識の習得に真剣に取り組んでいたことが、現在の診療の大きな財産になっているという。例えば、麻酔科の研修で全身管理について学んだ経験は、身体の中でどういう変化が発生しているか捉え、緊急性があるかどうか判断する基礎となっている。「循環器の患者数が多い医療機関では、虚血した下肢に伴う皮膚疾患の患者さんの診療に取り組み、学会に出席して、フットケアに関する専門書を展示場で買い込み、読みあさりました」
 
 更に、「接触皮膚炎」という触れた物に対して皮膚でアレルギーが起きる疾患を専門に扱う医療機関にも8年間勤務。多数の接触皮膚炎の患者のアレルゲンを徹底的に検索した。アレルギー検査に使う試薬の至適濃度を検討する委員会にも加わり、至適濃度決定のためのパッチテストも多数実施。病院によって特徴は異なるが、実地臨床がしっかりと行える病院で、その病院ごとのテーマに従い真剣に診療に取り組んできたことが、実際に開業するときの基礎となっているという。「女医として結婚、出産を経て生活環境が変化し続ける中、20年にわたり関連病院で育てて頂きました。医局、家族の存在があったからこそ診療を続けることができて、まさに『継続は力なり』を体現するように、開業に至れたのだと思います」

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