【連載:在宅医療 北から南から】003 飯田智哉(北海道)第3回

【連載:在宅医療 北から南から】003 飯田智哉 先生(北海道)第3回

2025年問題が迫る中、高齢化が加速し、在宅医療が重要な時代となっています。本連載では、在宅医療の現状、課題、未来を伝えることをテーマに、実際の現場で活躍されている医療従事者の皆さまに、明るく、楽しく、わかりやすく語っていただき、在宅医療の認知浸透を図るとともに、在宅医療を検討したい患者様とそのご家族様に、在宅医療を知っていただくことを目的にしています。
3人目は札幌で「札幌在宅クリニックそよ風」にて院長を務めている飯田智哉先生です。
3回にわたるシリーズの最終回の3回目は未来編として、飯田先生が目指す在宅医療について、ご自身が行っていることや国・行政にお願いしたいことを語っていただきました。
在宅医療のレベル向上が必要
—先生が目指す在宅医療、実現に向けて行っていることについて教えてください
自分が管理者という立場上、思うことはたくさんあるのですが、在宅医療って、やはり病院の医療に比べるとまだレベルが下と思われているので、在宅医療ではこういうことができるんだよみたいなものができるといいなと思っています。
在宅医療のハートフルな部分はとても大事だとは思いますけど、それだけではダメで、 在宅医療が医療というのであれば、やっぱり医療レベルを担保すること。それが患者さんやご家族の満足度にとってすごく大事なことだと思ってます。
なので、今まで在宅でやってなかったことはやれないよとかではなくて、安全性が担保されて、収益性も担保されてるのであれば、 在宅でできることは在宅でやってあげたいなと思っていますので、あまり固定観念にとらわれずに、新しいことにチャレンジしてみようと思ってます。
あとは、在宅医療の普及啓発として、市民活動などにすごく力を入れてやっています。在宅医療の関係者って、みんなどこかしら、もっと自分たちのやってることを知ってほしいと思いながら働いてる人たちが多いと思うんですよ。なので、そこを世の中にアピールすることを自分がやっていきたいですし、それによって広がっていければいいなと思っています。
北海道在宅医療推進フォーラムの際のラジオ中継
市民向けイベントとして、2024年1月にイオンモール札幌平岡内で行われた、北海道在宅医療推進フォーラムの際のラジオ中継時。
小樽潮陵高校での講演
母校の小樽潮陵高校で、医学系の大学進学を目指す高校1年生に向けて講演した時。
—国や行政にお願いしたいことは
病院医療の方々にもっと在宅医療をわかってもらうことがすごく大事なんじゃないかと思っています。もうちょっと有機的な関わりが病院と在宅の間でできるような仕組み作りをして欲しいというのが、国や行政にお願いしたいことですね。
在宅医療に関する理解はすごく進んできているので、病院医療と有機的に絡んで、協力してやっていけたらいいなと思います。
インフォーマルの力が重要
—地域住民に伝えたいこと、知ってほしいこと、お願いしたいことがあればお願いします
そうですね、 在宅医療って地域医療の最たるものと言っていいぐらいじゃないかなって僕は思っていて、そこでは、医者、看護師とかじゃなくて、インフォーマルな方々の役割はとても大事だと思います。
1人暮らしの方々に対して、僕らが訪問診療で家に行きますが、ちょっと隣の人が見に行ってくれてるとか、 民生委員の方々がサポートしてくれてるとか、もっとそういう地域レベルの支え合いみたいなものがあったら、こんなに心強いものはなくて、すごく大事なファクターだと思うんですよね。
今はお隣さんとかそういう時代じゃなくなってきましたけど、地域地域で皆さんがそれぞれで自分たちで生きていくっていうことをやっぱりもう一度考えて、皆さんが医療だけとか介護だけとかに頼らずに、 自分たちのコミュニティで支え合うっていうことがすごく大事なんじゃないかなって思いますね。
そういうのがあったら、さらにいい在宅医療っていうものが提供できるんじゃないかなって思うことはよくありますね。
もちろん僕らがそのハブになれたら良いなとも思っているので、今後も地域活動みたいなものには積極的に関わっていきたいなと思います。
先日102歳の誕生日を迎えた患者さんのご自宅で。
先日102歳の誕生日を迎えた患者さんのご自宅で。
バトンは奥山慎一郎先生へ
—リレー連載となっております。バトンをお渡しできる先生をご紹介ください
では、訪問診療クリニック山形の奥山慎一郎先生をご紹介します。
第1回日本在宅医療コングレス(2024/3/9開催)ではじめてお会いしたのですが、発表者の控室ではベテラン医師が中心で、少し浮いていた僕に気軽に声をかけていただいて和ませてくれた方です。
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