投稿日: 2024年6月18日 12:00 | 更新:2024年6月17日18:15
医療機関
入院設備からみた医療機関の種類
診療所
入院設備がない、または入院ベッドが19床以下の医療機関の総称です。
〇〇医院、〇〇クリニック、〇〇内科、〇〇眼科などの名称で表記されていますが、正式な医療機関の区分名称は「診療所」となります。
多くは外来医療が中心の検査/治療で、入院治療や専門治療は病院へ紹介します。一方で、高度な検査や専門治療/入院治療まで対応できる診療所もあります。
≪有床診療所≫
診療所のなかでベッドを備え、外来治療および必要があれば入院して治療を行うことができる小規模な医療施設です。「有床診療所」としての人員配置/設備基準を満たしています。入院ベット数が20床を超えると「病院」としての許可が必要になります。
病院
・一般病院
入院ベッドが20床以上ある医療機関です。
入院医療が主体。救急医療や専門医療、高度医療などを専門とする大病院から、特定の専門科目の検査や手術、内科的な治療、診療所のような外来機能が中心の小さな病院まで、さまざまな形態があります。
在宅医療の担い手となる医療機関
在宅療養支援診療所
在宅療養支援診療所は、在宅療養をされる患者さんのために、定期的な訪問診療と365日対応可能な往診、訪問看護や入院ベットの確保、介護連携、看取りなどの体制を整備した診療所のことです。地方厚生(支)局長に届出て認可される病院・医院の施設基準のひとつです。
在宅療養支援診療所は、以下の項目を満たすこととなっています。
・患者さんを直接担当する医師または看護師が、患者さんおよびそのご家族様と24時間連絡を取れる体制を維持すること。
・患者さんの求めに応じて24時間往診の可能な体制を維持すること。
・担当医師の指示のもと、24時間訪問看護のできる看護師あるいは訪問看護ステーションと連携 する体制を維持すること。
・緊急時においては連携する保険医療機関において検査・入院時のベッドを確保し、その際に円滑な情報提供がなされること。
・在宅療養について適切な診療記録管理がなされていること。
・地域の介護・福祉サービス事業所と連携していること。
・年に一回、在宅でお看取(みとり)した方の人数を地方厚生(支)局長に報告すること。
・厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえた『適切な意思決定支援に係る指針』を作成していること.(参照:弊会モデル指針)
在宅療養支援病院
在宅療養支援病院は入院ベッド数が200床未満で、通常の病院機能に加えて在宅療養をされる患者さんのために、定期的な訪問診療と365日対応可能な往診、訪問看護や入院ベッドの確保、介護連携、看取り等の体制を整備した病院のことです。
在宅療養支援診療所に準じた届け出要件を満たすことになっています。
さまざまな病院
総合病院
ベッド数100床以上の病院です。診療科目に「内科、外科、産婦人科、眼科及び耳鼻咽喉科」を含んで、かつ「集中治療室、講義室、病理解剖室、研究室、化学、細菌及び病理の検査施設、その他諸々」の施設を持っている病院です。それらの条件を満たしたうえで、都道府県知事の承認を得ると「総合病院」として認可されます。
特定機能病院
特定機能病院とは、高度の医療の提供、高度の医療技術の開発及び高度の医療に関する研修を実施する能力等を備えた病院です。第二次医療法改正によって平成5年から制度化され、令和2年12月1日現在で87病院が承認されています。
一般病院は誰もが受診可能であり、いつでも自由に来院できますが、特定機能病院の場合は「紹介制」のみでの受診です。診療所や一般病院で診療や治療を受けたうえで、さらに高度な医療が必要な場合に、特定機能病院への紹介が受けられます。
療養型病院
次の項で説明する「医療療養病床」の通称です.療養型病院は、病状が慢性期になった患者さん、治療よりも長期にわたる介護が必要な高齢者が、医師の管理のもとで看護、介護、リハビリテーション等の必要な医療を受けることができる病院のことです。
病院の病床機能の説明
急性期病床
病気を発症して間もない時期など、患者さんの状態が急速に悪化する可能性がある時期(急性期)に必要な医療を提供するための病床です。
亜急性期病床
亜急性期病床は、急性期治療を行った後、在宅等への復帰に向けて主治医 ・ 病棟看護師長 ・ 在宅復帰支援担当者(医療ソーシャルワーカー)・ リハビリテーションスタッフ等が協働 して退院支援を行う病床のことです。在宅などへの退院後の療養生活に不安がある場合などに、亜急性期病床に移って入院期間を延長すれば、60日間を限度に在宅等への退院準備が出来ます。
DPC(診断群分類包括評価)病床
平成15年4月から導入された急性期入院医療を対象とする診断群分類に基づく1日あたり包括払い制度による治療を行う病院です。令和4年現在、DPC対象病院は1764が指定を受けています。
DPCとは、米国で開発されたDPC(Diagnosis Procedure Combination )医療の質的改善を目指して開発された診断群分類の一種で、診断群分類に基づく1日当たり定額報酬算定制度を意味するものです。
地域包括ケア病床
「地域包括ケア病床」は、在宅復帰支援のための病床です。入院治療後、病状が安定した患者さんに対して、効率的かつ密度の高い医療やリハビリ・退院支援が受けられます。
在宅復帰をスムーズに行うために、「在宅復帰支援計画」に基づいて、主治医、看護師、薬剤師、管理栄養士、リハビリスタッフ・在宅復帰支援担当者(医療ソーシャルワーカー)等が協力して在宅支援(相談・準備等)を行います。
回復期リハビリテーション病床
急性期の治療を終え、病状が安定し始めた発症から1~2ヶ月後の状態の回復期に集中的なリハビリテーションを行なう病床です。入院期間は最大180日(疾患・状態により異なる)、リハビリテーションは1日最大3時間を行い、社会・在宅復帰をめざします。
緩和ケア病床
厚生労働省が定めた施設基準を満たし、 地方厚生局等に届出を行った医療機関で緩和ケアを行う病床です。
緩和ケア病床は、根治・延命を目的とした治療する病床ではありません。
患者さんとご家族が1日1日を大切に過ごせるよう、からだや心の様々な辛さを和らげる場所です。患者さんやご家族の思い、生活を大切にし、その人らしく過ごすことができるよう、症状緩和のための治療やケアを提供してための病床です。
次のケアを行います。
・からだの痛みや食欲不振、息苦しさ等の身体的な症状緩和
・日常生活の援助
・介護者の休養や冠婚葬祭などでご不在になる時の一時入院(レスパイトケア)
・在宅緩和ケアの準備
療養病床
「精神病床」「感染症病床」「結核病床」「療養病床」「一般病床」の5つの分類のひとつです。長期にわたり療養を必要とする患者さんが入院するための病床のことです。
人員配置は、医師は患者さん48人に対して1人以上、看護師・看護補助者は患者さん4名に対して1人以上配置されています。
療養病床には、次の2つがあります。
①医療療養型病床:慢性期の状態にあり入院医療を必要とする患者さんに対する医療を「医療保険」で提供する病床
②介護療養型病床:要介護認定された患者さんに対するサービスを「介護保険」で提供する病床で、必要に応じて医療も受けられます。(2023年度末に廃止が決定)
精神病床
5つの病床区分のひとつで、精神科の患者が入院するための病床です。
精神病床は一般病床の設備に加えて、それぞれの入院患者さんを保護するため、精神疾患の特性を踏まえた設備の設置が義務付けられています。
結核病床
5つの病床区分のひとつで、結核患者が入院するための病床です。
結核病床は、一般病床の必置施設のほか、機関換気設備、感染予防のための遮断施設、消毒施設などを設置する必要があります。
感染症病床
5つの病床区分のひとつで、感染症病床とは、感染症法に規定する新感染症、一類感染症、二類感染症及び新型インフルエンザ等感染症などの患者さんが入院するための病床です。
一般病床
5つの病床区分のひとつで、一般病床は「今必要な治療を提供する病床」です。対象は、「急性期」の患者で、入院期間も2週間ほどが目安となります。人員配置は、医師は患者さん16人に対して1人以上、看護師は患者さん3名に対して1人以上、看護補助者は規定なしで配置されています。
病床は、「精神病床」「感染症病床」「結核病床」「療養病床」以外の患者が入院するための病床です。一般病床には、緩和ケア病棟、集中治療室(ICU)、ホスピス病棟などの病床も含まれます。
施設
高齢者関連施設
介護老人保健施設
正式名称は、介護療養型老人保健施設で、通称「老健」と呼ばれています。
長期入院していた患者さんが、ご自宅に戻るまでの間に入所する施設(中間施設)です。退院後にもリハビリテーションを受けたい人に適しています。
患者さんは基本的に3~6か月を限度として入所します。利用できません。
特別養護老人ホーム(通称:特養)との違いは、介護士のほかに医師や看護師が配置され、入浴や排泄などの介護サービスに加えて、リハビリ・医療ケアが受けられます。老健では入所定員100人あたり最低1人の医師が常駐し、利用者の医療ケアや健康管理、緊急時対応などを行うことが義務づけられています。介護老人保健施設を利用できる患者さんは、原則65歳以上で、介護保険法による被保険者で要介護認定の要介護度1〜5に該当し、病状が安定していて入院治療の必要がなくリハビリテーションを必要とされる場合です。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)は、常時介護を必要とし、在宅での生活が困難な高齢者が、身体介護や生活支援を受けて居住する施設です。通称「特養」と呼ばれています。特養は利用者に何年もの間、安定した身体介護を中心とした自立支援の提供を最優先としているため、終身利用も可能です。要介護度3~5に該当する人が入居できます。です。
特養では外部の医療機関が「配置医(嘱託医)」として、必要な薬の処方箋発行や検査、看護師への指示などを行います。
機能訓練などが中心の老健のサービスとは異なり、特養は利用者に安定した介護受けながら長く生活するサービスを提供する施設です。
介護医療院
介護医療院は、2018年4月から新たに制度化された施設です。2017年度末で廃止が決定(2013年に完全廃止の予定)となった「介護療養型医療施設」に代わり、長期的な医療と介護の両方を必要とする高齢者を対象に、「日常的な医学管理」や「看取りやターミナルケア」等の医療機能と、「生活施設」としての機能を提供できる施設です。
介護医療院では、「緩やかな医療的サービス」と「介護サービス」が提供されます。
【医療的サービス】
・喀痰(かくたん)吸引
・経管栄養(胃ろう、経鼻経管栄養、腸ろう)
・点滴
・在宅酸素
・褥瘡のケア
・注射など薬の処方
・看取りやターミナルケア
【介護サービス】
・食事介助
・排せつ介助
・入浴介助
・レクリエーション
・機能訓練
・その他、日常生活上の世話
特別養護老人ホーム(特養) | 介護老人保健施設(老健) | |
---|---|---|
施設の役割 | 中~重度の要介護高齢者が身体介護や生活支援を受けて居住する施設 | 要介護高齢者にリハビリ等を提供し在宅復帰を目指す施設 |
入居条件 | (原則)要介護3~5 | 要介護1~5 |
サービス内容 | 身体介護を中心とした自立支援 | 医療的ケアとリハビリ |
設備 | 居室、浴室、トイレ、食堂など生活に必要な設備が中心 | 居室や生活に必要な設備に加え、リハビリに重点を置かれた設備が充実 |
居室タイプ | 個室/多床室 | 個室/多床室 |
費用 | 入居一時金:なし | 入居一時金:なし |
入居期間 | 終身利用 | 原則3ヶ月 |
入居難易度 | 入居待機者が多く数ヶ月以上待つ場合がある。 | 特養と比べると待機者は少なく比較的入居しやすい。 |
人員の配置基準 | ||
医師 | 必要数(非常勤可) | 常勤1名以上 |
看護職員 | 3人程度 | 10人程度 |
介護職員 | 31人程度 | 24人程度 |
リハビリ職員 | ― | 1人以上 |
※上記、人員配置数は利用者100人に対しての人数です。
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