投稿日: 2016年8月30日 14:16 | 更新:2024年1月18日5:26
●1975年、東邦大学医学部卒業。85年に三愛病院設立。97年、医療法人社団松弘会理事長。93年に埼玉県で先駆けて腹腔鏡下手術を実施。2005年2月に当日立位、歩行が可能な低侵襲人工骨頭置換術を学会で発表。
●1995年、東京慈恵会医科大学卒業。同大学附属病院外科学講座講師を経て2015年7月より現職。日本外科学会認定外科専門医、日本消化器外科学会認定消化器外科専門医、日本内視鏡外科学会評議員など。
●2002年、帝京大学医学部を卒業。東京女子医科大学消化器外科入局。12年4月、至誠会第二病院勤務。14年4月より現職。日本消化器病学会認定消化器病専門医、日本外科学会認定外科専門医など。
●2002年、聖マリアンナ医科大学卒業。東京女子医科大学消化器外科入局。15年4月より現職。日本消化器病学会認定消化器病専門医、日本外科学会認定外科専門医など。
●1994年、鳥取大学医学部医学科卒業。山陰労災病院第3消化器内科部長を経て16年2月より現職。日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医・関東支部評議員、日本消化器病学会認定消化器病専門医・関東支部評議員など。
内科と外科の連携で
高度な消化管疾患治療を
埼玉県さいたま市に位置する三愛病院は、「医師全員で総合的な医療を実践するとともに、『断らない救急』の実現に向けて力を尽くしてきました」と語る済陽輝久理事長のもと、各分野において先進的な医療を実践し、地域医療に貢献してきた。同院が力を入れている分野の1つとして、胃がんや大腸がん、肝胆膵がん、消化管出血、鼠径ヘルニアなどに代表される、消化管疾患への治療がある。「当院には外科と消化器内科それぞれで実績のある医師が揃っています。両科の垣根もなく、チームで治療に臨める体制が整っています」と篠原寿彦医師は語る。
現在、消化管疾患の治療は、開腹せずに治療する内視鏡下治療が普及したことに伴い、手術も含めた治療法の正しい選択が重要になっている。実際に同院では、医師や看護師、放射線技師、検査技師などのチームでのカンファレンスを通じ、患者にとって最もメリットのある治療法を選択し、その後の評価も積極的に行ってきた。また、チーム医療という面では、麻酔科のサポートが充実していることも、医療の質の向上に繋がっている。この規模で麻酔科医が複数名揃っている医療機関は珍しく、それを生かして、手術における患者の全身管理や、内視鏡検査の際の患者への負担を抑えるための麻酔なども円滑に行っている。
幅広い内視鏡検査と
早期がんへのESDを提供
消化器内科では、最新のレーザー内視鏡を導入。胃や食道への上部消化管内視鏡検査では、酢酸インジゴカルミン混注液(AIM)などを用いて病変の存在診断がなされている。大腸への下部内視鏡検査や三次元CT大腸検査も積極的に行っており、病変の発見率は格段に向上しているという。「当院には、細かな病変まで観察できる最新の内視鏡での検査に加え、精細な画像が得られるMRIやCTによる検査も可能としています。それらや細胞診などをバランスよく組み合わせながら質の高い診断を追求しています」と神戸貴雅医師は説明する。
検査で発見された早期の食道がん・胃がん・大腸がんに対しては、開腹せずに内視鏡下で切除するESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)も院内で実施が可能だ。神戸医師は、ESDにおいても豊富な経験を重ねており、適応内であれば大きな病変であっても対応している。加えて、外科によるバックアップが、信頼性の高さに繋がっているという。例えば、診断をしっかりしていればほぼ起こらないケースではあるが、ESD後に追加で手術が必要になった際もスムーズに外科へ引き継げる。
各分野に長けた外科医が
がん治療や救急に対応
進行したがんなど、内視鏡治療では困難な症例に対しては、篠原医師を含めた3名の外科医がそれぞれの得意分野を生かして対応していく。その中には、「膵頭十二指腸切除術」に代表される難易度の高い肝胆膵がん手術も含まれている。「肝胆膵は一般的に合併症率や死亡率が高いと言われ、社会的にも話題になっている分野です。消化器内科による診断や内科的治療のサポートのもと、外科では信頼性を担保しつつ質の高い手術に努めています」と君島映医師は語る。
また、切開を抑えられる腹腔鏡・胸腔鏡も積極的に取り入れてきた。現在同院では、広く行われている胃や大腸の腹腔鏡下手術に加え、まだ実施施設が決して多くはない、食道に対する胸腔鏡下手術も提供している。そして、これらの手術は、食道がんや胃がん、大腸がんなどの治療だけでなく、救急患者に対して積極的に行われているという。「現在では、腸閉塞や消化管穿孔などの緊急手術にも腹腔鏡で対応しています。こうしたことが可能な施設は近隣では見られないため、数多くの救急患者が当院に搬送されます」と済陽義久医師。
救急対応においても、内科との風通しの良さが役立っているという。例えば、救急の原因の中には、内科的治療との併用が必要になるクローン病や潰瘍性大腸炎といった、炎症性腸疾患の場合もあり、その際も内科と連携を取りながら対応していく。現在同院は、埼玉県が実施している「搬送困難事案受入医療機関支援事業」において、救急患者を断らずに受け入れることが求められる「搬送困難受入病院」にも指定されている。それも円滑な救急医療体制が評価されたからだと言える。
2017年末開設に向け
新病棟の建設も進める
同院が実施している、迅速かつ高度な検査・治療が少しずつ近隣の医療機関にも知られたことで、現在では中核病院も含め、埼玉県内から広く患者を紹介されるようになってきた。それと共に、腹腔鏡下手術による、さらなる地域貢献の手段として、適切な治療が受けられず、悩んでいる患者が多い鼠径ヘルニアに対する1泊2日での手術の提供も開始した。
東京へ出ることなく、地域で高度な医療が受けられるよう、診療体制を拡充してきた同院。現在も、より多くの患者を受け入れられるよう、2017年末開設に向け、新病棟の建設も進めている。「目標としては、地域の基幹病院となることが挙げられます。ハードルはまだまだありますが、スタッフの努力で乗り越えていきたいですね」と篠原医師は語る。
【診療科目】 | 外科、整形外科、脳神経外科、内科、循環器内科、消化器内科、リハビリテーション科、放射線科、形成外科、消化器外科、泌尿器科、麻酔科(浅倉信明)、呼吸器外科、リウマチ科、心臓血管外科、歯科、歯科口腔外科 |
【病 床 数】 | 許可病床199床(一般158床稼働) |
【診療時間】 | 月〜金 9:00〜17:00(受付は16:00まで) |
【休 診 日】 | 日・祝 |