経験に基づく両側同時手術で
真の患者目線を追求

医療法人啓信会
中之島いわき病院

 
院長 岩城 啓好

 
いわき・ひろよし●医学博士。1991年に大阪市立大学医学部卒業。ロンドン大学で3年間医師として働き、帰国後、大阪労災病院整形外科医長、大阪市立大学整形外科准教授などを経て、2013年より現職。
 
 

関節包も温存するMISで術後のQOLに配慮

 中之島いわき病院は、変形性関節症などの治療として普及している人工関節置換術に力を入れており、全国トップレベルの実績を誇る。同院の岩城啓好院長は、難症例を含む数多くの人工股関節置換術の経験を持ち、早期回復や脱臼予防のためのさまざまな取り組みを行う。

 患者の身体を仰向けにした状態で、インプラントを適切な向きに挿入しやすく、後方の支持組織を温存できる前外側アプローチという切開方法を採るほか、MIS(最小侵襲手術)もいち早く導入。筋肉や腱への侵襲を抑えている。加えて、人工関節に置き換える際に取り除くことの多い、関節包という股関節を包む袋を取らずに切開のみにとどめ、縫合・修復させている。「結果、痛みの抑制だけでなく、術後の関節の安定性を確保できます」と岩城院長。こうした取り組みにより、同院では術後の患者への動作制限を一切行っていないにもかかわらず、脱臼例がほとんどないという。「遠方にお住まいの農家の方が、『しゃがめなくなるのは困る。動作制限を受けたくない』と、相談にいらしたこともあります」 
 
 現在では、変形性膝関節症に対する治療にも力を入れる同院。股関節と同様MISを取り入れて患者の負担軽減と術後の生活に配慮した手術を行っており、症例数が増えているという。関節全部をインプラントに置き換える全人工膝関節置換術や、一部のみを置き換える単顆型人工膝関節置換術のほか、脛骨の一部を切って関節のかみ合わせを調整する骨切り術も行っている。

クリーンルームで手際よく行う膝関節の
両側同時手術

 
 

患者の利益に徹した両側同時手術

股・膝ともに、これらの手術を両側同時に行う術式を積極的に採るのも、同院の大きな特長だ。「膝の疾患は両脚で起こる事が多く、同時に行うメリットも大きいといえます。全体の手術時間の短縮につながるうえ、麻酔や手術が一度で済み、医療費も抑えられます。両側同時に行っても入院期間が2倍となるわけではありませんので、全体の治療にかかる期間も短くなります。出血を抑えた手術を短時間で行えば、リスクを抑えることは可能だと考えます」と岩城院長。

2020年夏に完成予定の新病院の
完成予想図

 同院では、原則仰向けの状態で手術を行うため、片方の足が終わると、患者の体勢を変えずにもう一方の足に着手できる。また、両側同時手術であっても、片側手術と同様に翌日から歩行訓練を開始でき、リハビリテーションの際には両脚のバランスを調整することもできるという。
 
 
 

リハビリを拡充した新病棟の建設が進む

 より効果的なリハビリにも力を入れる同院では、約30名のリハビリスタッフが365日常駐し、休みなくリハビリを行える体制を整える。「それにより、お盆や年末年始など長期の休みに入る前に手術を受けた患者さんであっても、毎日リハビリができます」。現在、同区内で新病棟の建設が進んでおり、竣工は2020年8月の予定だ。
 

 リハビリスタッフの増員(60名)や、回復期リハビリ病棟の新設など、リハビリの拡充を目指す新病院では、保存治療から手術、リハビリ、外来リハビリまで一貫した提供が可能となる見込みだという。一つの病院で治療が完結することは、同じ医師やスタッフに診てもらえるという患者の安心感にもつながると岩城院長。「手術やリハビリ、それらの提供体制など、あらゆる面で高い質を保ち続けることで、患者さんのニーズに応えられるのです」。真の患者目線を追求する姿勢で、今後も同院は進化し続ける。
 

 

Information
医療法人啓信会 中之島いわき病院

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【受付時間】9:00~12:30/16:00~19:00
【休診日】土午後・日・祝

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