投稿日: 2019年8月27日 10:50 | 更新:2019年8月27日10:50
医療法人光誠会(大阪府八尾市)
しろばとクリニック
院長 栗岡 宏彰
くりおか・ひろあき●日本内科学会認定総合内科専門医、日本救急医学会認定救急科専門医、日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医ほか。
大阪府八尾市を中心に、質の高い在宅医療を提供しているしろばとクリニックの栗岡宏彰院長は、在宅医療における緩和ケアや看取りに、特に力を注いでいる。
緩和ケアは、がん患者、特に末期がん患者が抱える疾患や治療に伴う疼痛を和らげ、ADL(日常生活動作)を維持するために行われる。「そう聞くと、がん拠点病院などにある緩和ケア病棟を思い浮かべる方も多いと思います。ただ、病院内の緩和ケア病棟というのは、自宅で療養する末期がん患者さんの症状が悪化した場合に受け入れ、入院して服薬やカウンセリングを通じて調子がよくなったら自宅へ戻すといったように、流動的に用いられる場所です」と栗岡院長は語る。
一方、在宅医療の緩和ケアには、外来と入院という2つの診療を担う病院でのそれとは異なる意義があると説く。「それは、患者さんの生活を支えることです。痛みの緩和だけでなく、患者さん本人が趣味を楽しんだり、好きなものに囲まれたりと、より自分らしく生きられるようサポートすることが大切です。在宅医療の一環として行うことは、その目的にかなうと考えます」
在宅医療を受けたくても自宅に受け入れ体制がなかったり、体調面から困難になった場合、従来は病院に入院することが多かった。しかし栗岡院長は、「病院に戻るのではなく、生活の延長として過ごせる施設が必要です」との考えから、2015年に緩和ケアに特化した施設「しろばと緩和ホーム」を立ち上げている。同施設では、医療依存度が高い患者も受け入れるべく、医療と介護を融合させた体制を整備。看護師が常駐し、主治医が24時間対応している。一方、病院ではないことから生活における制限は一切なく、家具や私物を持ち込んだり、ペットを連れてきたりすることもできるうえ、起床や食事のタイミング・内容も自由だ。
また、患者と一緒に過ごす時間が長い介護士に、医療に関する知識が備わっていることも重要だという。「知識と患者さんへの関心が、日々の生活における『医療的な気づき』につながるのです」。そのため、クリニックでは介護士向けの勉強会を月に2回開催し、医療の知識の習得に努める。講座によっては、かなり詳細な解説も行っているという。
在宅での看取りについても、栗岡院長は課題を口にする。「日本の在宅看取り率は、在宅医療の導入以来あまり増えていません。ただ、要介護状態になったり、療養が必要になったりした方の多くが、住み慣れた環境で過ごすのを望んでいるのです」と栗岡院長。その実現のためには、在宅医療や介護に対する患者本人や家族の理解も不可欠であるとして、「やお多職種連携の会」を発足させた。医師や看護師、介護事業所などが連携して定期的にミーティングを行い、よりわかりやすく、効果的な啓発に取り組んでいるという。
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- 医療法人光誠会(大阪府八尾市) しろばとクリニック
しろばとクリニック
【診療科目】内科、外科
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住宅型有料老人ホーム しろばと緩和ケアホーム
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