投稿日: 2017年5月17日 17:42 | 更新:2017年5月17日20:33
医療法人沖縄徳洲会
宇和島徳洲会病院
総長 貞島 博通
超急性期と在宅の橋渡しとして総合診療に力を入れる
愛媛県宇和島市の宇和島徳洲会病院は、「患者と家族に寄り添う医療」を掲げ、2004年の開院以来、地域医療に尽力してきた医療機関だ。同院が開院する以前、この地域では3次救急まで対応する市立病院や、その他社会保険病院(現JCHO病院)、多数のクリニックはあったが、超急性期を脱したあと、在宅までの隙間を埋める施設が存在していなかったという。「治療後にリハビリテーションや療養が必要になる方など、すぐに自宅に帰れない方を診られる、中間的な役割を担う施設が足りていませんでした」と貞島博通総長。
実際に同院では、こうした患者を受け入れることを心がけ、回復期リハビリテーションや、ALSなどの障害者医療も提供。修復腎移植の臨床研究を実施するなど、泌尿器医療でも実績を挙げてきた。
そして、現在では総合診療を軸にするようになってきたという。「高齢の方は、心疾患や肺炎などの疾患を発症した方から、『なんだか元気がない』という方まで幅広い症状が見られます。ちょっとした発熱など、超急性期の病院を受診するには患者さんが遠慮してしまいそうな症状も含め、すべてを受け入れています」(池田佳広院長)というように多様な症状を診つつ、院内の居宅介護支援センターや通所リハビリも生かし、在宅や施設の患者を支援してきた。
高齢化が進む地域のため認知症治療に尽力
近年同院では、地域のニーズに応え、認知症治療にも力を入れるようになってきた。「この地域も年々高齢化率が上昇しており、それに伴って認知症患者も増加しています。その受け皿として、治療に力を入れなければならないと考えたのです」と貞島総長。そこから、認知症を含めたもの忘れに特化した外来診療を2009年より開始。総合病院で治療を提供することにより、患者にとって受診への敷居が下がるほか、脳の状態を確認できるMRI検査及びSPECT検査などによる診断も提供でき、円滑に治療へと進められるようになるという。
診断した認知症患者に対しては看護師や言語聴覚士、ソーシャルワーカーなども含めたチーム医療で治療に臨み、介護保険サービスの紹介など、退院後のフォローまで一貫して提供していく。他科との連携により、肺炎や発熱などを併発している患者でも対応が可能だ。「近年では肺炎など、他の疾患を訴えて来院した患者さんで、認知症の発症が判明するというケースも増えてきています」と池田院長。こうした取り組みが受け入れられたことで、次第に同院を受診する患者も増え続けてきた。貞島総長への講演依頼も多く、認知症についての情報提供のために積極的に引き受けている。
認知症も診られる総合診療医の育成を
このようにして作り上げてきた診療体制を踏まえ、同院では現在、認知症も診られる総合診療医の研修体制の構築を目指している。「当院のように総合診療と認知症治療、両方の教育ができる施設は国内でも多いというわけではありません。加えて、日本有数の規模を持つ徳洲会グループのネットワークを生かして大都市圏の著名な病院でも研修を行うことで、都市と地方それぞれの特性に対応できる医師を育成できます」と池田院長は強調する。そうした環境を設けて研修医を集めることもまた地域活性化の一助になるのだという。
同院が大きな目的として掲げているのは、地域包括ケアの実現に向け、多施設間のネットワークを作り上げること。「地方の病院では、医療を実践しながら地域にも目を向けなければなりません。地域を盛り上げるために病院がどう関わるかを常に考えています」と、貞島総長は宇和島市ならではの地域医療のあり方を追い求める。
- Information
- 〒798-0003 愛媛県宇和島市住吉町2-6-24
TEL.0895-22-2811
FAX.0895-22-2777
【診療科目】内科、消化器内科、循環器内科、小児科、外科、整形外科、泌尿器科、
婦人科、リハビリテーション科、放射線科
【診療時間】月〜金 9:00〜12:00/13:00〜17:00/17:00〜19:00
土9:00〜12:00
【病床数】300床(一般病床210床、回復期リハビリ病棟36床、介護療養病床54床)
【休診日】日・祝 ※緊急は24時間対応
http://www.uwatoku.org/