救急車・救急外来の 正しい利用法

 
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救急搬送の件数は年々増加し、近年、救急医療の現場には人手や救急車の不足、夜間対応病院の混雑など、さまざまな問題点が浮上しています。救急車、救急外来をどのように利用していくことが限りある救急医療を大切にすることにつながるのか、一緒に考えてみて下さい。

 
■監修 帝京大学医学部附属病院 高度救命救急センター
    センター長・教授

    三宅 康史 医師

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限りある救急医療を分かち合っていくために

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昔に比べて、救急車のサイレンを聞く機会が増えたな――そう感じる方も多いのではないでしょうか。実際、救急車の出動件数、搬送人員数は、年々増加傾向にあります。このような状況下で問題になっているのが、入院などを必要としない軽傷の方が救急車で搬送されることや、それに伴い軽傷者搬送のために近くの消防署から救急隊が出払い、119番通報時に遠くにある消防署から救急車が出動する必要が生じ、到着までに時間がかかることなどです。特に前者は全体の約半数に及んでおり、救急医療が本当に必要な人への対応が遅れてしまうことの原因となっています。
 
そこで近年、救急医療の現場ではトリアージというシステムが浸透してきています。トリアージとは、より緊急性が高い患者の生命を守るために、救急医療が必要か否かを判断し、治療の順番を決めていくことです。現在では救急車を呼んでも、到着した救急隊によって緊急性が認められない場合、自力での受診が推奨されています。このトリアージシステムは患者自ら医療機関を訪れ、救急外来を受診した場合にも用いられます。救急外来はあくまで緊急性のある患者を対象としています。そのため診察の順番は受付順ではなく、緊急性や重症度に応じた担当医の判断に沿うこととなります。
 

判断に困った時は、救急相談窓口への問い合わせを

実際に、自分や周囲の人間に急病・急変などが生じた時には、救急車を呼んだ方がよいのか、判断が難しい場合もあるでしょう。そのような時に頼りになるのが、各自治体が設置している救急相談窓口の存在です。例えば東京都には「救急相談センター(#7119)」が、大阪府などには「 救急安心センター(#7119)」が設置されており、救急搬送の要・不要や、受診できる医療機関の所在、応急手当の方法などについて相談できます。
 
また同様に休日・夜間の急な小児の発病などには「小児救急電話相談(#8000)」が用意されています。なお、これらの窓口は自治体によって電話番号・対応時間が異なります。緊急時に備え、前もって確認しておくと良いでしょう。
 
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実際に救急車を呼ぶ時には

119へと連絡した場合、基本的には指令員が必要事項を尋ねます。ただ緊急性が高い場合、全ての質問が終わる前から救急車が出動しています。またAEDの実施など応急手当が必要な場合には、電話で指示があります。
 
救急車の到着までに用意しておくと便利なものには健康保険証や診察券、普段から服用している薬、おくすり手帳などが挙げられます。乳幼児の場合は、母子健康手帳や紙おむつ、哺乳瓶、タオルなどを用意しておくと良いでしょう。周囲の人数が多かったり、現場の正確な位置がわかりにくかったりする場合には、大きな道沿いまで迎えに出て救急車を現場まで案内する人がいれば、救急隊のスムーズな到着と、より早い対応が可能となります。
 
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救急隊が到着した時には、事故や容態が悪化したときの状況、救急隊到着までのあいだの変化、応急手当の有無や行った内容を伝える必要があります。そして具合の悪い方の情報として、持病やかかりつけの医療機関などを伝えるのも大切です。
 
こうした情報は、救急隊に素早く・正確に伝えるために、メモにまとめて用意したり、家族で共有しておくと便利です。緊急時において、すぐに救急車を呼ぶことが推奨される症状を、大人・小児に分けてまとめましたので、いざという時の参考にしてみて下さい。
 
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