頑固な疼痛、筋力低下、歩行障害等を伴う侵襲的手術を躊躇する高齢者の腰部脊柱管狭窄症、腰椎ヘルニア、腰椎すべり症や脊椎手術後症候群、不全脊髄損傷、糖尿病等の合併症で侵襲的な手術不適例に脊髄電気刺激療法（ＳＣＳ）を施行し除痛および知覚、筋力の回復、歩行の改善がみられ患者さんからの満足が得られています。ＳＣＳの効果判定は、電気生理学的検査所見、尿流動態検査所見、サーモグラフィー所見、脳血流ＳＰＥＣＴ所見および神経伝達物質・関連物質を中心とした脳脊髄液検査所見などを参考にしており、ＳＣＳ通電後に脳脊髄液のノルエピネフリン(NE)、ドーパミン(DA)、HVA、5HIAAの増加が有意に見られ除痛および運動・知覚機能の改善傾向と相関する症例が多く認められました。病巣部の神経根や硬膜管の器質的圧迫を除圧することなく、その高位中枢部を通電刺激することで症状の改善が見られており、脊髄ニューロンの賦活化、可塑性などが示唆されました。1989年よりＳＣＳを導入しましたが1999年の認可改正により診療所での施行が不可となり休止していました。2018年から診療所でのＳＣＳが再認可され当院再開が可能となりました。当院では感染を危惧して数日間の経皮的試験通電期間を設けていません。術中に刺激電極の至適高位を患者さんと共に詳細に検索し効果を確認して同日に電池を皮下に挿入し初回手術での完了に努めています。現行機種はMRI検査が可能となり自動調節機能も備わり高齢者でも操作が簡単で充電等の自己管理が容易となりました。

　低侵襲治療法で局所麻酔なので日帰り手術が可能です。疼痛でお悩みの方はご気楽にご相談下さい。