投稿日: 2017年12月4日 9:00 | 更新:2017年11月7日9:33
■取材
キャナルコート歯科クリニック
理事長
山田 健太郎 歯科医師
喪失した歯を補う治療として、近年広く普及してきているのが、インプラント治療である。「周囲の歯へ負担を掛けない、自分の歯のように噛める、などのメリットがある、『天然歯に一番近い治療』といえます」と話すのは、日本口腔インプラント学会専門医であるキャナルコート歯科クリニックの山田健太郎理事長。また最近では、病態や患者の希望に沿うような、多様なインプラント治療の選択肢が開発・提供されているという。
例えば、ほとんどの歯を喪失した場合、そのすべてをインプラントで補おうとすると、身体・肉体的に負担が大きくなりかねない。そうしたケースには、片あご最少4本のインプラントで人工歯を支える「オールオン4」や、埋入したインプラントで入れ歯を固定させる「ロケーターインプラント」といった、費用や治療時間を軽減できる治療法が登場している。またインプラントを埋入する部位の骨が不足している症例でも、人工の骨を補填する「骨造成術」を行うことで、インプラント治療が可能になるという。「ただ、患者さんにとって一番の願いは、自らの歯を残すことでしょう。歯の保存を目指せるか、抜歯が必要なのかしっかり判断してからインプラント治療を選択していくことが大切です」
──治療の選択肢を揃えたうえで、
患者へと入念に説明していくことが重要──
むし歯が悪化し、細菌が歯の神経(歯髄)まで侵入すると、神経の炎症が徐々に進んでいく。進行すると歯の根(根管)やあご骨まで菌や炎症が到達し、最終的には歯の支持組織まで破壊されて歯の喪失を招く。そこで感染した神経を除去し、クリーニングすることなどで歯の保存を目指していくのが根管治療である。近年、この根管治療の進歩に伴い、従来では抜歯が選択されたり、再発していたケースでも歯の保存が可能になっている。山田理事長はそうした点に着目し、精密根管治療を取り入れているという。
根管は直径0.5mm以下と非常に細く、枝分かれしたり曲がったりしていることが多いため、治療には高い技術が求められる。もし治療後に病気が治っていなかった場合、再治療や抜歯が必要になることもある。そこで最近では、患部を拡大視できるマイクロスコープや、根管の形状・太さ・数などをより正確に把握できる歯科用CTなどを導入し、正確性を追求する治療技術が発展してきている。また同院の塙真樹子歯科医師は「根の病気を治癒させるためには、細菌の除去と更なる感染の防止を徹底することが求められます。そのためには、ラバーダムシート下での治療や、衛生管理された器具の使用が必要です」と指摘する。
同院の尾上由枝歯科医師は、こうした選択肢の利点・欠点を説明し、患者自身が希望する治療を選択できるように、情報を提供、サポートすることが歯科医の役目だと話す。「根管治療において、日本の保険診療と、欧米のマイクロスコープなどを用いた専門医による治療では治癒率に差があり、日本の保険診療は再治療率が高いといわれています。しかし医療者が力を尽くしても治らなかった症例に対し、同じ治療法を繰り返すことは、再考する必要があると思います。目標が、病気があっても使えていれば良い『歯の生存(サバイバル)』ならそれも良いでしょう。病変が無く、快適に機能している歯の健康状態を目指すなら、必要に応じて治療法を変えていくことも、一つの方法でしょう」
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