コロナ対策を徹底し安心安全な院内を目指す

　「先端的な技術を身近に」というコンセプトのもと開業以来13年間、地域の人々の眼の悩みに寄り添ってきたのが大阪府枚方市のこうやま眼科だ。だが、2020年は新型コロナウイルス感染症が大阪でも広がり、患者の来院にも影響が出たという。

　「やはり外出されるのを控えられる方が増えて、来院される時には症状が悪化しているケースが多くなりました」と話すのは香山政紀理事長。視力はいったん失うと取り戻すのは難しい。

　「目の健康は生活の質に直結します。見えない、見にくいというのは、決して不要不急ではないので来院していただきたかったです」

　そのために香山理事長が徹底しているのが院内の清潔さの維持だ。同院は眼の難手術を数多く手掛けることで知られるが、香山理事長は手術室並みのクリーンさを院内全体に求めた。オゾンガスによる消毒、ＣＯ２モニターによる換気状況の確認のほか、空気中の細かな粒子を取り除くヘパフィルターをエアコンに装着するなどの対応をとっている。

「私たちが目指しているのは安心安全で信頼してもらえる医療施設です。高齢の患者さんも多いので、皆さんの不安を取り除くことが第一と考えました」

技術と機器を進化させより正確な手術を追求

　診療・治療で香山理事長が重視しているのが、高度な技術で治療の正確性を追求し、患者の負担をできるだけ抑えることだ。日々革新を続ける検査・手術器具も積極的に取り入れている。

　例えば、香山理事長が得意とする糖尿病網膜症などの網膜硝子体手術では、０・１㍉ほどの極小切開を可能とする、27ゲージシステムをいち早く取り入れて行っている。眼に与える負担を抑えられる２万回転の硝子体カッターも採用し、低侵襲化を突き詰めている。

　「眼に挿入する器具も眼内で操作しやすく改良されており、より精緻な手技が可能になっています」

　これらの手術は、繊細な眼底組織を立体映像で映し出しながら治療できる３次元映像システム下で行われ、眼内の微小な病変・異常を把握しやすくなったという。その実績を頼りに、難症例については他院から頼られることも少なくない。

　また水晶体が濁って、ものが見えにくくなる白内障の手術では、水晶体の代わりに眼内レンズを正確な位置に挿入することが手術の見え方の最も重要なポイントだ。同院では術前に患者の眼を精密に解析し、切開位置の調整、眼内レンズの度数決定、固定位置などのデータを基に治療を進められる新装置を20年に大阪で初めて導入し、手術の精度の向上に努めている。

• 手術機器にこだわり、正確性の高い手術を目指している
• 眼内の様子を高精細に映し出しながら治療できる網膜硝子体手術装置

常に患者第一の姿勢で診療に取り組む

　香山理事長が常に自分に問いかけていることが、「目の前の患者さんが自分の家族だったら、どういう治療を選択するか」ということだという。かつての恩師の言葉で、患者に対して最善の治療を提供するために努力を惜しまなかったその姿勢を受け継ぎ、より良い眼科医療を追求する原動力にしている。

　患者重視の姿勢は、通院が困難な患者の無料送迎や、すべての検査を映像・画像化して説明していく診療の見える化といった取り組みにも現れている。また、院内のスタッフにも愛情を注ぐのが香山流だ。コロナ禍を一丸となって乗り切ってきた。

　「スタッフみんなで力を合わせて、私たちを頼って来られる患者さん一人ひとりに対応するのが当院です」
　ただ香山理事長は、「医の道にはゴールはありません。一生勉強の気持ちを忘れずに、さらに正確な手術を目指します」と謙虚な姿勢を崩さない。香山理事長の眼科医療への熱い思いは尽きることがない。

取材／河嶋一郎