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医療法人徳洲会

八尾徳洲会総合病院

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冠動脈から末梢血管まで
高度なカテーテル治療で患者に寄り添う

地域で完結できる医療提供を目指す

 大阪府八尾市を中心とした中河内地域の〝最後の砦〟として重症救急を受け入れる八尾徳洲会総合病院。同院で全国でも圧倒的な症例数を誇るのが循環器内科だ。

 「狭心症や心筋梗塞などカテーテルを用いたPCI(経皮的冠動脈形成術)を中心に、慢性完全閉塞病変や末梢血管疾患まで幅広い心疾患治療を手がけています」と話すのは同科部長で心臓血管センター副センタ―長の松尾浩志医師。同科の中心となって年間約1000件の血管内治療※をこなし、海外でも治療や指導にあたる。

 そんな松尾医師が長年力を入れているのが慢性完全閉塞病変だ。冠動脈疾患の中でも難易度が高いとされる。長期に閉塞した血管は、カテーテルを通すためのガイドワイヤーを進めにくいうえに、ずれると血管壁を傷つける恐れがある。また石灰化した病変には、ロータブレーターやダイヤモンドバックという特殊なカテーテルを用い、削って開通させるが、血管穿孔などのリスクがあり高い技術を要する。こうした病変に対し松尾医師は、豊富な経験と高い技術をもって合併症を極めて抑えた治療を提供している。「最優先すべきは患者さんの安全。リスクと将来を考えた本当に必要な治療を最小限にとどめて行うことが重要で、術前診断で虚血を詳細に評価して実施します。さらに起こりうることを全て考え、対処策と用いるべき治療手段を綿密に計画します」。症例によってはバイパス手術を提案することもある。「カテーテル治療を専門とする医師だからこそ、その限界もきちんと理解し、患者さんにとって最適な治療を提案します」

 循環器疾患は心臓だけではない。糖尿病や腎症といった疾患が密接に関わり、足などの末梢血管にも障害を引き起こす。松尾医師はそうした治療にも注力している。閉塞性動脈硬化症による重症虚血肢では、皮膚潰瘍や壊疽といった重篤な症状が生じるため、形成外科と連携した創傷ケアセンターで治療にあたっている。

 「循環器内科で血行再建を、形成外科で創傷治療を行っています。足の血管閉塞は高頻度で再発することから、治療選択や時期の見極めといった難しさがありますが、高い技術をもつ形成外科医と密に情報共有しながら治療方針を決定しています」

 4月からは心臓血管外科と協働する心臓血管センターも開設、動脈瘤に対するステントグラフト治療も積極的に行い、ハイブリッド治療も提供している。松尾医師は「患者さんが遠くの病院に行かなくてもすむように、この地域で治療が完結できる体制を作る」と意気込む。

 「all for the patient」。術衣の背中にそう書き記している松尾医師は、強い信念と情熱をもって目の前の患者の望みと未来に寄り添い続ける。

※PCI 約700件、末梢血管形成 約300件 2020年1~12月

循環器内科部長
心臓血管センター副センター長

松尾 浩志

日本内科学会認定総合内科専門医
日本循環器学会認定循環器専門医

医療新聞社
編集部記者の目

 午前に外来診療60~70人、午後からカテーテル治療6、7件、その後入院患者を診て、救急搬送にも対応する。約1000件の年間PCIのほとんどを担う。その傍ら、新型コロナウイルス感染拡大前まではアジアを中心とした海外へ月に一度渡り、現地で治療や指導を行ってきた松尾浩志医師。「患者さんの思い、ご家族の思いに沿うために、医療は何ができるのかを一番に考えています」。どんなしがらみにも囚われず、ただ目の前の患者に真っ直ぐ目を向ける松尾医師の姿勢に、心動かされた取材となった。

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