大動脈弁狭窄症は、心臓の弁が狭くなり、全身へ十分に血液を送り出せなくなる病気です。主な原因は動脈硬化によるものですが、症状が「息切れ」や「動悸」など加齢に伴うものと似ているため、「体が軽くなった」「あれが症状だったのですね」と、治療後に初めて症状を自覚される方もいます。

　カテーテルで血管の内側から生体弁を留置するTAVIは、これまで開胸手術が困難な患者さんが対象でしたが、2021年秋に開胸手術が可能な患者さんにも適応が拡大されました。TAVIは開胸をしないため、体への負担が軽減され、術後の入院期間も短縮されます。しかし全ての患者さんにTAVIが適しているのではなく、年齢や併存症、大動脈弁周囲の構造を考慮した選択が必要です。

　大動脈弁治療はこれまで開胸手術が主な治療法で、心臓血管外科で治療をしてきました。当院はより良い治療選択や緊急時に迅速な対応をするために、病気の弁を直接見て治療をしている心臓血管外科が担当科としてTAVIを行っています。　　　TAVIは開胸手術以上にチームワークが必要な治療で、心臓血管外科開設以来20年以上培ってきたハートチームの絆で正確性の高い医療を追求しています。

　早期発見するために、息切れや胸の痛み、動悸などの症状がある方は、当院にご相談ください。