国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構
QST病院

 

重粒子線治療を常にリード保険収載拡大でさらに注目


 

 

国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構
QST病院


 
 
 

保険収載の拡大により重粒子線治療が身近に
 千葉市稲毛区にあるQST病院(旧放医研病院)は重粒子線治療において多くの実績を上げてきた。1994年6月の治療開始から2022年3月までの間に1万4105件の症例を手掛けている。
 
 がん粒子線治療の公的医療保険適用に関して、2016年4月に切除できない骨軟部腫瘍が、18年4月には頭頸部がん、前立腺がんが対象となったが、22年4月より大型の肝細胞がん、肝内胆管がん、局所進行性膵がん、局所進行性子宮頸部腺がん(重粒子線のみ)、手術後に局所に再発した大腸がんの5つが新たに対象となった。これによって重粒子線治療を受ける上で、経済的負担が軽減されるがん患者の範囲が広がった。
 

 

回転ガントリーが重粒子線照射に威力を発揮
 同院の重粒子線治療の特長として、まず高速3次元スキャニング照射法が挙げられる。6㍉ほどのビームで腫瘍の形に合わせて照射する。もう1つは世界で3施設しかない回転ガントリーがあり、患者を治療台に固定して、あらゆる角度から重粒子線を照射することが可能だ。この2つを組み合わせることで、治療困難な箇所の腫瘍や複雑な形状の病巣でも照射でき、正常な組織を避けて腫瘍だけに線量を集中できるので、副作用の軽減が期待できる。重粒子線は非常に重い炭素粒子を使用しているので殺細胞効果が大きいうえに、放射線抵抗性の腫瘍にも治療効果が高く、治療期間も短期間で済む。
 
 同院では照射前に患者へのインフォームドコンセント、固定具の作成、治療計画策定のためのCT撮影といった準備を行う。
 
 「照射前の準備で5日から一週間かけます。照射回数は例えば肝臓であれば平均2~4回。照射期間は約一週間ですね。疾患によって回数が変わりますので、疾患ごとの目安の回数を当院のHPに掲載してあります。技術の向上により、効果を維持したまま年々照射の回数を減らすことができており、患者さんの負担を低減させています。そして現在も照射回数を減らす研究を進めています」と山田滋病院長は語る。
 
 このように重粒子線治療は、今後ますます身近なものになっていくだろう。
 

重粒子線治療室。固定具をつけた患者を治療台に固定し、重粒子線を照射する


 

 

Information
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