- 北海道
社会医療法人 医翔会
札幌白石記念病院
人生100年時代
低侵襲の血管内治療で社会に貢献
頭から足の先まで全身の動脈硬化をサポート
全国でも有数の症例数を持つ脳血管内治療センターを筆頭に、脳卒中・心疾患に特化した医療機関として、札幌市東部の地域医療に貢献する札幌白石記念病院(札幌市白石区)。「頭から足の先まで全身の動脈硬化をみる」という治療方針で各分野のエキスパートが診療にあたっている。
特筆すべきは毎朝(月~金)のブレインハートカンファレンス。全ての診療科(脳神経外科、脳神経内科、循環器内科、心臓血管外科、透析センター、麻酔科:長堀かな子)の医師らが集まり、最新の血管撮影装置(DSA)などを用いて診断、診療方針を決定する。
「不整脈が見つかれば循環器内科がカテーテルアブレーション、頸動脈狭窄があれば私が血管内治療にあたるなど、その場で決断します」と脳血管内治療センター長の野村達史医師は話す。診療科の垣根のない密なコミュニケーションが、検査から治療までを加速させる。
一刻を争う脳卒中には脳神経外科・脳神経内科を中心としたチームで診療にあたる。
第一選択肢は血管内治療。橈骨動脈(手首の血管)や鼠径部などからカテーテルを挿入するため侵襲が小さい。治療時間も1~2時間程度と短いため高齢化の進む現在、重要性は増している。それが難しい場合、開頭手術を検討する。
進化する血管内治療で脳卒中に立ち向かう
破裂リスクのある脳動脈瘤には従来のコイル塞栓術(コイルを詰めて瘤を塞ぐ)に加え、進化する血管内治療で、さらなる低侵襲化を追求する。
その画期的なデバイスが、網目の細かいステント(金属製の筒)の「フローダイバーター」。適用となるのは5 ㍉以上の未破裂脳動脈瘤で、動脈瘤入り口の血管にステントを置くだけで治療が完了する。
「瘤の中に何も入れないので、動脈瘤の壁を傷つけません。早ければ治療時間は30分程度。脳動脈瘤の治療がよりスムーズになり、今まで治せなかった大きい瘤にも対応できるようになりました」と野村医師は強調する。
根治性の高い治療法ではあるが、抗血小板剤の継続や瘤が閉塞しないときの対応など、リスク管理には脳血管内治療のスペシャリストとしての知見が求められる。同院では脳動脈瘤の位置や形状によって3種類のフローダイバーターを使い分けている。
野村医師は若い頃「こんなに短い手術時間で、患者さんがよくなる治療法があるのか」と脳血管内治療に衝撃を受けたという。豊富な症例数を持つ札幌白石記念病院では医療レベルの向上に励みつつ、若い医師の教育にも取り組んでいる。社会貢献とともに、脳血管内治療の普及・未来づくりにも尽力する。
- 脳血管内治療センターメンバー
脳血管内治療センター長
野村達史
のむら・たつふみ●日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医、日本脳神経血管内治療学会認定脳血管内治療専門医
脳血管内治療センター
脳神経外科
恩田敏之
「脳卒中には主に脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の3種類があり、発症部位、時間経過、全身状態などによって、治療法が異なります。少しでも患者さんや、ご家族の不安を和らげられるよう、疾患・治療法の丁寧な説明を心がけています」
脳神経内科
(脳卒中センター長)
髙橋賢
「t-PA療法や血栓回収療法による急性期医療は大切。同じくらい再発予防も重要です。患者さん、それぞれの危険因子を調べ、適切な治療薬・検査を選択する攻めの予防に努めています。心原性の脳卒中には循環器内科、心臓血管外科とも連携し、予防に取り組んでいます」
脳神経内科
倉内麗徳
「急性期は迅速に行いますが、時間のある場合は、じっくり診察・検査をして、患者さんに満足いただける治療を心がけています。脳卒中の中には脳炎やギランバレー症候群など神経変性疾患がまぎれていることがあります。内科的治療や血管内治療、外科のサポートはもちろん、疾患の原因解明も脳神経内科の重要な役割です」
医療新聞社
編集部記者の目
毎日のブレインハートカンファレンスの話が印象的。脳梗塞が見つかったら、まず脳血管内治療センターで治療し、その後の検査で心房細動が見つかれば、スムーズに循環器内科が対応する。脳疾患と循環器疾患を担う双方のチームが気兼ねなく、相談し合える関係だ。同院の指針は「頭から足の先まで動脈硬化性病変に対応」。次回の取材では循環器内科・心臓血管外科の話もぜひ、聞いてみたい。
Information
【診療時間】月~金9:00~12:00/13:00~17:00
土9:00~12:00
【休診日】土午後、日・祝日 ※救急は24時間受付
〒003‐0026
札幌市白石区本通8丁目南1-10
TEL.011-863-51511 (代表・緊急連絡)