新型コロナ拡大で在宅医療の利用が急増、往診やターミナルケアが顕著に



新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響により、日本における在宅医療サービスの利用が大きく変動していることが、東京慈恵会医科大学と飯塚病院の共同研究により明らかになった。この研究は、東京慈恵会医科大学の青木拓也准教授と松島雅人教授、飯塚病院の柴田真志医師が中心となり実施され、9月4日に「Journal of General Internal Medicine」誌のオンライン版に掲載された。

この研究では、厚生労働省が管理する全国規模の医療レセプトデータベース(NDB)を用い、パンデミック前後における訪問診療、往診、ターミナルケア(終末期医療)、および在宅での看取りの利用状況を調査した。その結果、訪問診療の利用回数に大きな変化は見られなかったが、往診は月に約1,258回増加、ターミナルケアは月に約1,116回増加したことが確認された。また、在宅での看取りについても月に約1,459回増加するなど、急激な増加が見られた。

さらに、ターミナルケアに関しては、自宅で療養する患者において特に急激な増加が見られ、パンデミック直後には月に約1,070回の増加が確認された。また、在宅療養支援診療所・病院など、機能強化型の医療機関では、従来型の施設や一般診療所に比べてより大きな増加が見られた。

研究チームは、この結果を基に、パンデミックが在宅医療に与えた影響を定量的に評価することで、今後の感染症流行に備えた医療資源の適切な配分を検討する必要があると指摘している。今回の研究は、在宅医療サービスがパンデミック下で緊急の医療対応や終末期ケアにおいて果たした重要な役割を浮き彫りにしたものだ。

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