投稿日: 2019年8月27日 10:53 | 更新:2019年8月27日10:53
医療法人社団協友会
メディカルトピア草加病院
院長・外科診療顧問 金平 永二
かねひら・えいじ●金沢大学医学部卒業。ドイツTuebingen大学で内視鏡外科手術を学んだ後、金沢大学医学部附属病院、四谷メディカルキューブなどを経て現職。
GISTを中心とした胃粘膜下腫瘍の手術で、年間60例以上(※2018年1~12月)と、国内屈指の実績を挙げているメディカルトピア草加病院。同院ではGIST全例を低侵襲な腹腔鏡下手術で実施。さらにその進化形といえる、臍の切開だけで行う単孔式を含めたReduced Port Surgery(減孔式手術)も導入している。
そうした内視鏡外科を活用し、金平永二院長が独自に開発した、機能温存に重点を置いた術式を数多く実践。その代表例が、食道と胃の境にある噴門部の胃内手術だ。この周囲には胃を動かす神経が走っており、神経を傷つけずに胃の外から腫瘍を摘出することは難しい。そこで胃の上半分や全体を摘出する術式が主流だが、QOL(生活の質)の大幅な低下を招く。その点、胃内手術では臍と胃壁を小さく切開して器具・内視鏡を挿入し、胃の内側から腫瘍だけを切除していく。「神経や胃そのものを温存して治療できる術式です」と金平院長は説明する。
また噴門部以外の症例には、CLEAN-NETという術式も導入している。従来、腫瘍だけ切除する場合、胃の外側から胃壁ごと腫瘍を引っ張って、自動縫合器で切除・縫合する手法が一般的だ。ただ腫瘍が胃の内側に突出するタイプでは、胃壁が腫瘍を包み込んでいることが多く、胃壁を過剰に切除して機能障害や胃の変形を招くことがある。一方、CLEAN-NETでは腫瘍周囲の漿膜と筋膜だけを切開し、残った粘膜を腫瘍ごと引っ張って切除・縫合するため、胃壁の侵襲を抑えられる。そのように機能や形態の維持にも配慮した「患者にやさしい手術」に取り組んでいることが、実績と評判の背景にあるのだろう。
こうした患者の負担軽減にかける思いは、内視鏡外科の修練で師事したゲルハルト・ブエス医師の影響が大きいと、金平院長。どの臓器の治療でも根治性を第一にしながら、患者にとって大切な機能をなるべく残す、そうした哲学を受け継いできたという。「GISTは発生部位や大きさ、形態、発育形式によって適切な選択肢が異なり、病態に応じたテーラーメードサージェリーが必要です。セカンドオピニオンやメールでの相談も受け付けていますので、お気軽にご相談頂ければ幸いです」