投稿日: 2019年8月27日 10:50 | 更新:2019年8月27日10:50
医療法人社団 誠馨会 新東京病院
消化器外科部長 岡部 寛
おかべ・ひろし●京都大学医学部卒業。日本消化器外科学会認定消化器外科専門医、日本内視鏡外科学会評議員ほか。
消化器外科部長 松本 寛
まつもと・ひろし●奈良県立医科大学卒業。日本消化器外科学会認定消化器外科専門医ほか。
千葉県松戸市の新東京病院は、「低侵襲手術センター」の立ち上げを目指し、その目玉としてダビンチシステムを導入、2019年4月から稼動させた。ダビンチは全国の基幹病院で採用されるが、前立腺がんの手術などがメーンとなる。「それに対し、当院では、主に消化器系のがんで活用する方針です。消化器系のがんも、病巣を正確に切り取るべきなのですが、ダビンチならきめ細かい切除がしやすく、残す臓器にも傷がつかないのです」と、岡部寛医師は話す。
腹腔鏡下手術は開腹手術と比べて体に優しいが、術野を肉眼では確認できず、モニターを見ながら手術をするので、高度なテクニックが要求される。それに、「消化器の中でも食道や直腸、膵臓など体の奥にある臓器は、腹腔鏡手術では操作が困難なこともあります」と、松本寛医師は説明する。手術創からのアプローチが長いため、手術器具が届きにくいからだ。その点、「ダビンチなら、鉗子が自在に曲がるので、ほかの臓器を傷つけずに、深部の手術ができます」(松本医師)。また、ミリ単位の器具の操作が可能で、「米粒に文字が書ける」といわれるほど。胃がんでは、腹腔鏡よりも、ダビンチでの手術のほうが合併症は少ないといった報告もあるという。
岡部医師も松本医師も、腹腔鏡下手術のエキスパートで、ダビンチが日本に導入された直後から扱ってきた。そのほか、肝臓・胆嚢・膵臓の低侵襲手術のエキスパートである本田五郎医師、腹腔鏡手術の経験を持つ若手外科医9名も揃う。「ダビンチによる手術は現在、保険適用となる胃や食道、直腸のがんが中心ですが、今後は対象疾患をさらに広げていきたいですね」(岡部医師)。岡部医師も松本医師も、「ダビンチによる手術で東葛エリアのみならず、日本のメッカといわれるように努力し、地域医療に貢献したい」と、意気込む。
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