投稿日: 2017年5月17日 17:12 | 更新:2024年1月18日5:18
医療法人弘遠会 『すずかけグループ』
脳神経外科部長 土屋直人
つちや・なおと●1986年浜松医科大学卒業。浜松赤十字病院、総合青山病院などを経て、2012年より現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。
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旧社会保険浜松病院の事業を引き継ぎ、2012年11月に開院したのがすずかけセントラル病院。急性期から療養期の医療まで幅広く対応する総合病院だ。中でも、脳神経外科と泌尿器科の領域では、先進的な医療に取り組んでいる。
脳神経外科で特に力を入れているのが、頸椎変性疾患に対する低侵襲手術であり、土屋直人医師はこの分野に実績のある医師だ。頸椎症や頸椎椎間板ヘルニアは、さまざまな症状を引き起こす。例えば、頸椎症で首の骨にトゲ(骨棘)ができると、脊髄から腕に通じている神経を刺激し、肩や腕、手の指に痛みやしびれが生じることがある。それが「頸椎症性神経根症」だ。土屋医師はこう説明する。「痛みで夜寝られない人もいます。症状が続くと自律神経失調症、さらにはうつを併発することもあります。手術にしても、一般的な術式では長期の入院・療養が必要で、40~60代の働き盛りの人はなかなか踏み切れません。そこで、短期入院で済む術式で広域医療に取り組んでいるのです」
頸椎症や外側型頸椎椎間板ヘルニアで神経根が圧迫されている場合、「顕微鏡下頸椎前方椎間孔拡大術」を行う。首の前側を25㍉ほど切開して頸椎にアプローチし、顕微鏡で確認しながら、病変をダイレクトに取り除く。最短1泊2日で受けられ、抜糸も首の固定も不要。頸椎症、中心型頸椎椎間板ヘルニアなどで頸髄が圧迫されている場合に行う「頸椎前側方部分椎体削開術」も、頸椎の低侵襲手術だ。ただし、前述のような手術ができる脳神経外科医は、国内でも多いというわけではない。同院にも全国から問い合わせが来るが、土屋医師は、術前の相談や術後のフォローについて、eメールで対応してくれるそうだ。
一方、同院の泌尿器科でも低侵襲治療を強化している。副院長の麦谷荘一医師は、腎盂・尿管がんの内視鏡手術を約20年間研究してきた実績を持つ。医療機器メーカーに協力し、超極細内視鏡の開発を支援した。この内視鏡は、先端部の直径がわずか1.6㍉で、尿道からスムーズに挿入できる。患部に到達したら、先端部からレーザーを照射して治療。麦谷医師はこう説明する。「腎盂や尿管のがんは、腫瘍のある側の腎臓や尿管を全摘出する外科手術が標準治療。しかし、合併症のある人や高齢者に行うのは困難です。また、すでに片側の腎臓を摘出している場合、人工透析に移行せざるを得ません。それに対して、この内視鏡を使えば、合併症のある人や高齢者にも手術ができます。開腹が不要なので術後4~5日で退院でき、腎機能の温存も可能です」
厚生労働省がまとめた14年度のDPCデータによれば、同院の腎盂・尿管がんの内視鏡手術件数は32件と、全国でもトップクラスの実施件数を誇る。一方、「HoLEP」と呼ばれる前立腺肥大症の新しい手術も導入した。尿道から内視鏡を挿入、ホルミウムヤグレーザーを使って肥大した組織をくり抜き、体外へ吸引する。同院でこの手術を手がける栗田豊医師はこう話す。「大きな前立腺肥大症の一般的な手術は、高齢者に行うのが難しく、重い合併症を起こしやすいのも欠点でした。しかし、ホーレップなら、開腹せずにすみ、出血も少ないのです。全身状態のよい80代の人にも行えます」
食生活の欧米化のせいか、前立腺肥大症の若年化が進んでいるという。入院期間が短いホーレップは、仕事で忙しい現役世代にも適している。「前立腺周辺の神経を傷つける心配も少ないので、性機能も保てます」と、栗田医師は強調した。
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