新東京病院

千葉県

医療法人社団誠馨会

ハイレベルな医療技術と医学研究で
決して諦めない心疾患医療

高度な医療を支える医学研究

　千葉県東葛地区の基幹病院として地域医療を支えているのが新東京病院（松戸市）。看板である心疾患治療を中心に、各診療科にスペシャリストを揃え、約800カ所の地域医療機関と連携する。TAVI（経カテーテル大動脈弁留置術）や経皮的僧帽弁接合不全修復術の認定施設としてハイレベルな医療を提供する同院には全国各地からも患者が来訪。心カテーテル治療数は年間1398件※を数える。

「治療実績は病院の技術レベルを測る指標のひとつです。ただし、医療において大事なのは件数や技術だけはありません。治療後どうなったか。結果を反映し、次に生かす医学研究が大切です」と中村淳院長は力説する。

　医学研究は目の前の医療の質を上げるだけでなく、論文として発信することで、世界中に最新の医療情報を届けられる。

決して諦めない心カテーテル治療

　狭心症は侵襲の少ない経皮的冠動脈（PCI）で、狭窄した血管を拡張すれば、症状が改善すると一般的に考えられている。ただ、ひと口に狭心症といっても実際は労作性狭心症、冠攣縮性狭心症、微小血管狭心症と3種類の特徴の異なるものがあり、症例や患者の状態によって、薬物療法やバイパス手術など適した治療法を選択する必要がある。治療、結果分析、改善を繰り返す地道な努力で質の高い医療を継続する。

　新東京病院の伝統は、どんなに難しい心疾患でも「無理」と言わないこと。
「基本的に心臓に悪性腫瘍はできません。ある冠動脈が完全に閉塞していても、他の血管をつなげれば、なんとかなります」と中村院長。
　医師が希望を捨てたら、患者を救うものがいなくなると信念を貫く。手術室9室（うちハイブリッド手術室1室）、カテーテル室6室を備える。熟練の臨床工学技士や看護師などパラメディカルが、患者の既往・手術歴などを事前確認し、万全の態勢でサポートする。

　同院は人材育成にも注力する。2カ月に1回、全国から中堅医師を20人集めての合宿を10年間継続した。手術見学や座学、海外からゲスト講師を招聘しての授業と交流を行い、そこから巣立って、活躍する医師は約1000人を数える。

「自分が患者になったとき、優秀な医師に診てもらいたい。未来を見据えた教育が最終的に、目の前の医療に還元されるんです」と中村院長。

　新東京病院は理念である「患者さんにより添う医療」を目の前、世界中、未来というスケールで実現するために、日々研鑽を続けている。

取材・文／五十嵐幸司

院長

中村淳

なかむら・すなお●1988年大分医科大学院卒業。2013年より現職。熊本大学心血管治療先端医療寄附講座特任教授、国立循環器病研究センター技術特別顧問、北京大学客員教授など。

冠動脈疾患

新東京病院副院長
診療部長（内科系）
新東京ハートクリニック所長
大分医科大学卒業

中村勝太郎

病院の窓口となる駅前のクリニックでは循環器系、糖尿病内科の診療を行っています。

末梢血管疾患

末梢血管疾患治療部長
山形大学卒業

朴澤耕治

心臓血管以外の血管のケアも大切。下肢の壊疽、潰瘍などの治療はご相談ください。

不整脈

心臓内科部長
不整脈部門部長
熊本大学卒業

岩佐篤

カテーテルアブレーションなど病態に応じた治療を提供します。不整脈はコントロールが大切です。

CT画像診断

心臓内科部長
大分医科大学卒業

奥津匡暁

冠動脈の状態をCTで診断。スクリー二ング検査としてもご利用いただけます。

血管内画像診断

心臓内科部長
慶應義塾大学卒業

田原聰子

治療の要となる血管の状態（心臓の弁の動き、冠動脈の狭窄など）について診断します。

虚血性心疾患

心臓内科医長
弘前大学卒業

三友悟

狭心症や心筋梗塞の原因となる虚血の状態を診断し、難易度の高い治療にも対応します。

構造的心疾患（心臓弁膜症）

心臓内科部長
山口大学卒業

長沼亨

TAVIや経皮的僧帽弁接合不全修復術など、患者さんの将来を見据え、低侵襲な治療を提供します。

医療新聞社
編集部記者の目

心臓カテーテルのエキスパートである中村淳病院長に取材した。病院の取り組みや理念の話はもちろん、日本で心臓カテーテル治療がどのように普及したかという医療の歴史までテーマは多岐に渡った。1981年、日本で初めて心臓カテーテル治療を行い、その発展に寄与した延吉正清医師には映画『7人の侍』に出てくるような優秀な仲間がいた。系譜を受け継ぐ中村院長も優秀な医師を集め、「医療の梁山泊」を目指す。医療技術、データレビューなど新東京病院の取り組みはどれも素晴らしい。特に「どんな難症例でも絶対諦めない」という姿勢に心を打たれた。

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