歯科医師、歯科衛生士、歯科助手の3人1組で訪問

池袋から電車で約30分。駅付近にマンションや住宅が建ち並ぶ埼玉県のベッドタウン所沢市・小手指に「奥原歯科医院」がある。

　同院は院内での一般診療に加え、個人宅や特別養護老人ホームなどの施設、患者の入院先の病院などに出向く訪問歯科の診療体制を敷く。訪問歯科では月曜日から土曜日、歯科医師、歯科衛生士、歯科助手が３人１組となり、患者のもとに出向く。

　「治療に必要なポータブルな機材や吸引器などを持参します。訪問先では虫歯の治療のほか、入れ歯の作製や調整、点検修理、抜歯など、院内の診療室とほぼ同じ治療やケアが可能です」と話すのは院長の奥原利樹歯科医師だ。

• 無料の託児ルームも完備

患者の事情や希望を傾聴し治療方針を立てる

　「私はご縁があった患者さんのお口を最期の最期まで、治療し、ケアしたいと思っています。実際、お口の中が汚いまま、天国へ旅立たせたくないとというご家族の声は少なくありません。ご遺体のお口の中にきれいに磨いた義歯を入れてあげたり、歯を磨いて差し上げるなど、ご遺族の意向に寄り添うのも、私たちの役目だと思います」

　奥原院長は自身が定義する医療の本質を追求する。

　「患者さんの事情や希望を傾聴し、きちんと生きてきた背景を把握して、それらを考慮し、寄り添いながら進める診療が医療の本質だと思います。例えるならヒマラヤ山脈登山の時の専門のガイド、シェルパのような存在。患者さんと同じペースで登り、共に目指す山頂に辿り着きたいのです」

　誰ひとり取り残さない歯科医療を今後も続ける構えだ。