- 京都府
亀岡市立病院
脊椎脊髄疾患治療の
新たなステージが開幕
全国から患者と医師が やってくる「脊椎医療の城」
全国から患者だけでなく、医師も手術見学に押し寄せる。京都府亀岡市にある亀岡市立病院はベッド数100床の小規模急性期病院でありながら、名声は全国に鳴り響く。その原動力となっているのが脊椎脊髄疾患治療のエキスパートである成田渉医師がセンター長を務める同病院脊椎センターだ。
成田医師は2003年に自治医科大学を卒業、京都府立医科大学での研修を経て、僻地医療に従事しながら、2016年に医学博士号を取得した。2017年、亀岡市立病院では、いち早くVR(バーチャル・リアリティ)を用いた脊椎治療を開始したほか、脊椎手術機器も開発し全国の病院で臨床応用してきた。
脊椎手術件数は5年間で1500件を超えた
「手術に用いる機器の多くも自ら医療機器メーカーに足を運び、開発や改良に携わってきました。良い治療結果が残せたのも継続的に研究・開発と技術向上に取り組んできたからだと思います」
と成田医師は話す。亀岡市立病院では2018年7月、脊椎センターを設立。センターでは年間300例以上の脊椎手術を行っており、5年間(2018年7月~2023年7月)で1500件を超えた。
ただ、公立病院が企業と共に技術開発を行うのは、きわめて困難。そこで、成田医師をフリーランスの外科医とすることで、コラボレーションの道を残した。
「センターでは私たちが蓄積した知見・技術を集積することで新たな技術開発に取り組んできました。センターが開発した術式や機器がいろいろな先生から高い評価をいただいており、社会貢献を果たしていると思っています」
と成田医師。2021年からフリーランス外科医として亀岡市立病院を拠点としながら、各地で手術指導や機器の臨床応用などダイナミックな活動を行っている。
小さな傷・少ない出血で筋肉も 切らない「頸椎ミスト手術」
同院では低侵襲で脊椎を治療する術式である、MIST(ミスト=最小侵襲脊椎治療)に力を入れる。顕微鏡や内視鏡を用いて小さな切開・少ない出血・短い手術時間を実現し、合併症のリスク低減も期待できる。近年増加しているのが首、腰、手足の広範囲にわたり、痛みや痺れ、脱力感、麻痺などの症状が出る頸椎症だ。
従来、頸椎手術の切開は10~15㌢ほどだった。ミスト手術なら3~4㌢、絆創膏の長さに収まる。手術時間は多くが1時間以内で出血も従来手術の10分の1とあって、回復も早い。手術翌日には歩行練習を開始し、1週間ほどで退院することが可能で、多くの症例では外来でのリハビリの必要もない。
「小さな傷で手術をするには習熟した技術が必要となります。センターでは技術を磨くだけでなく、手術に用いる器具も工夫。特別なサイズの骨を削るダイヤモンド製の器具を企業に開発してもらいました。術野を確保したり、骨を固定したりする器具も特別製で、他院での手術の際にも持参して行います」(成田医師)
手術は神経に隣接した骨を確実に削るなど緻密な作業が続くが、成田医師は様々な工夫で手術成績の向上に余念がない。
近畿はもちろん、九州、四国、北陸、関東からも来院
同院の脊椎手術の充実ぶりを知った患者が次々に亀岡市を訪れ、近畿はもちろん、九州、四国、北陸、関東などからも来院する。
「例えば頸椎による慢性的な痛み・痺れに悩まされ続けたドライバーの方でも頸椎ミスト手術を受けることで症状が改善し、ふたたびドライブを楽しめる――そういうふうに患者さまの『生活の質』の改善をサポートしたい。患者さまの生活環境や痛みの状態を把握し、できる限りの早期社会復帰を目指しています」
と成田医師は全国の痛み・痺れに悩んでいる皆さんに呼びかける。
構成/岡林秀明
脊椎センター長
成田 渉
医療新聞社
編集部記者の目
京都・亀岡市にある亀岡市立病院の知名度も全国区レベル。脊椎脊髄疾患治療で名をはせる脊椎センター(成田渉センター長)がけん引、むしろ病院があることで亀岡市の知名度もあがりつつある。成田医師が自ら開発・改良した機器をはじめ最新の機器・設備を取りそろえ、世界でも有数の高度な医療を提供。小さな切開・少ない出血・短い手術時間で早期退院・社会復帰を目指せるとあって全国から患者が殺到する。
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亀岡市立病院
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