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国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構

QST病院
(旧 放射線医学総合研究所病院)

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新たな可能性を開く
重粒子線治療

HIMACから「量子メス」の普及へ

 外科手術に比肩することを目指して次世代のがん治療法「重粒子線治療」が世界に先駆け1994年、日本で始まった。パイオニアとしてけん引するのはQST病院。

 「一人でも多くのがんの患者さんを救うことがわれわれの願いです。目の前の患者さんの治療を大切にしつつ、将来的に多くの患者さんが受けられるように、既存の治療装置(HIMAC)をさらに小型化した量子メスの開発・普及を進めていきたい」と辻比呂志病院長は話す。

  • 第5世代重粒子線がん治療装置「量子メス」

保険適用で前立腺がん治療の選択肢が広がる

 現在、重粒子線治療で保険適用となるのは局所進行頭頸部がん(腺がん系など)、頭蓋底腫瘍、手術不能骨軟部腫瘍と前立腺がん。中でも前立腺がんは全国で年間約95000人(※)が罹患する。

 標準治療には手術と放射線治療があり、放射線治療では病態に応じてホルモン療法を併用する。ホルモン療法によって、病巣と一緒に照射する前立腺そのものが小さくなるため、ホルモン療法を数カ月先行させてから放射線治療を行う。

 複数ある放射線の中でも、重粒子線は副作用も少なく、高い治療効果が期待されている。従来の放射線(X線など)は体の表面から病巣に至るまで散乱・減弱して進む。一方、重粒子線は直進し、停止直前に最大のエネルギーを与えることから、病巣にピンポイントでエネルギーを集中できる。これにより、周辺組織への負荷も少なく短期間の治療を可能にする。

 X線は治療に約2カ月かかるのに対し、重粒子線は約3週間。内部照射の小線源は、さらに短い入院期間で済むが、手術同様に麻酔が必要となる。

 「患者さんには病状と治療法をご理解いただき、最適な治療計画を準備します」と石川仁副病院長は話す。

 2018年に前立腺がんの重粒子線治療は保険適用となった。前立腺がんに重粒子線治療を検討してみてはどうだろうか。

※出典 国立がん研究センターがん情報サービス

  • 効果的に照射を行える回転ガントリー治療室

病院長

辻 比呂志

日本医学放射線学会認定
放射線科専門医

副病院長

石川 仁

日本医学放射線学会認定
放射線科専門医

医療新聞社
編集部記者の目

近代的な建物と広い敷地にあるのは新たな放射線治療「重粒子線治療」を牽引するQST病院。辻比呂志院長には病院のミッションについて、石川仁副院長には主に前立腺がんを対象とした放射線治療(重粒子線治療など)ついて話を伺った。外科手術とは異なる切開しないアプローチに刺激を受けた。現在、国内で普及している重粒子線治療装置は60㍍×50㍍という大きさ。研究を重ねて開発が進む「量子メス」は20㍍×10㍍と大幅にサイズ縮小を実現。近未来を感じさせるフォルムに、心がおどった。

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