- 兵庫県
医療法人社団 英明会
大西脳神経外科病院
- 動画あり
予防、治療、リハビリまで
トータルで患者を支える脳疾患医療を追求
脳卒中救急の迅速な対応で予後の向上を目指す
20年以上もの間、兵庫県明石市で脳疾患治療を支えてきた大西脳神経外科病院は、地域住民の声に応えた医療を提供し続けている。脳卒中をはじめとした急性期治療だけでなく、予防医療や回復期リハビリテーションにも力を注ぐ。
日々、救急搬送を受け入れる脳卒中センターでは、年間1331件※もの脳卒中治療にあたっている。脳卒中の場合、いかに治療を早く始めるかという点が救命や予後に大きく影響する。
「従来は手術前に別室でMRIやCTによる画像診断を行っていましたが、手術室に最新の血管撮影装置を導入したことで、同室内で画像検査ができるようになりました。その結果、治療開始までの平均時間が60分から30分にまで短縮されました。撮影装置は血管の様子が鮮明に確認できるように、常に最新設備を入れるようにしています」と大西宏之副院長は話す。
また、医師だけでなく、看護師、放射線技師などのコメディカルが迅速に動くことも、スムーズな治療のためには重要となる。脳卒中治療に関わる全スタッフが的確に動けるような体制を構築している。
絶え間ない研鑽を続ける低侵襲な脳血管内治療
治療法では血管内にカテーテルを通して施術する血管内治療に力を入れる。開頭をしないため、患者への負担が少ない低侵襲な治療法といえる。
脳血管内治療に対応できる医師が6名在籍し、脳卒中でも数が多い脳梗塞に対する血栓回収療法にも、24時間365日体制の対応が可能だ。
脳卒中のひとつに脳動脈瘤が破裂して引き起こされる、くも膜下出血がある。その再破裂を防ぐために、コイル塞栓術を行っている。破裂・未破裂脳動脈瘤では、年間で血管内治療を100件、開頭手術を8件※実施している。
「脳動脈瘤の部位や大きさに応じて、使用するデバイスを選択します。例えば10㍉より大きい脳動脈瘤は再発リスクが高いため、フローダイバーターステントという網目の細かい筒状の機器を併用しています。また、非常勤講師を務める大学病院の症例で採用した最新のデバイスについては、当院でもいち早い導入を検討するようにしています」と大西副院長は説明する。
手術内容は、症例ごとに術前のカンファレンスで話し合い、術後のフィードバックで技術の向上につなげている。
症例によっては開頭手術が適しているケースもある。同院には開頭手術のエキスパートも在籍しており、患者に合わせた治療法の選択ができる点も強みのひとつだ。
予防からリハビリまで一貫して診療にあたる
明石駅前にサテライトクリニックを開院するなど、予防医療にも力を入れる。
「健康意識の高まりから、脳ドックや、めまい、もの忘れでの受診が増えています。その際の画像診断で偶然、脳動脈瘤が発見されるケースがみられます」(大西副院長)
未破裂脳動脈瘤はそのほとんどが無症状で、高齢者から30~40代などの比較的若い世代まで、幅広い世代で発症する。患者の年齢や併存疾患、社会背景などを考慮して、手術や経過観察などの治療方針を決定していく。
全172床のうち、急性期病床が122床(SCU6床、HCU6床)で、回復期病床が50床を占めており、脳卒中のリハビリに特化したスタッフが在籍している。
「脳卒中は再発が懸念されますから、回復期病棟へ移ったあとも、脳神経外科の主治医が一貫して診ることで、患者さんの不安軽減を目指しています。今後は回復期病棟のさらなる拡充も構想しています」と大西副院長。これからも地域のニーズに応えて医療サービスの充実を図っていく。
※ 2022年1月~12月
取材・文/高橋美森
副院長
脳神経外科部長
脳血管内治療主任部長
脳卒中センター長
大西 宏之
おおにし・ひろゆき●医学博士。大阪医科薬科大学非常勤講師。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医、日本脳神経血管内治療学会認定脳血管内治療専門医ほか。
医療新聞社
編集部記者の目
脳疾患の治療において血管内治療と開頭手術の両方に力を入れる大西脳神経外科病院。特に血管内治療は、大西副院長の着任以来、件数が増加傾向にある。大西副院長は非常勤講師を務める大学病院でも脳血管治療の執刀医を担当しており、2020年12月に保険収載されたWoven EndoBridgeデバイスなどの最新治療機器を用いた手術にも取り組んでいる。その経験を活かし、同院でも新しいデバイスの導入に積極的で、例えばフローダイバーターステント治療では多くの症例を重ねている。
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