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山口県立総合医療センター
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2台の手術支援ロボットを導入し
精度の高い人工関節置換術で地域に貢献
人工関節置換術の実績がロボット支援下手術を可能に
山口県防府市に位置する総合病院、山口県立総合医療センター。多くの診療科目の中でも整形外科は長年、人工関節置換術に取り組んできた。
「当院は1970年代からセメントレスの人工股関節置換術を行っています。また同時期に日本ではまだ普及していなかった、フランス発祥の前方アプローチを採用。難度の高い術式ですが、低侵襲で患者さんへの負担が少なくて済みます」と田中浩副院長は語る。
2010年の田中副院長の着任に合わせ、人工関節センターを開設。手術件数は増加を続け、21年には膝関節445件、股関節317件※1と中国・四国地方でも、その実績は目覚ましい。
さらに20年から21年にかけて手術支援ロボットを2台導入。「希望する患者さん全員にロボット支援下手術を実施できるように、2台にしました」と人工関節センター長の椎木栄一医師は話す。2台合わせて、288件※2のロボット支援下手術を実施している。
「ロボット支援下の人工膝関節置換術では出血量が10~20㏄ほどで済みます。また画像によるナビゲーションシステムも非常に正確です」と椎木医師は力を込める。田中副院長も「股関節の場合でも、骨盤の骨を削ったり、人工関節を設置したりする時間が短縮され、患者さんの負担軽減を目指せます」と説明する。
ロボット支援下手術は術前計画をもとに進められるが、同院では手術中に患者の骨の状態に応じ、医師たちの知見を反映して、骨を切る位置や角度を微調整することもある。積み重ねてきた症例数がロボットの効果的な運用を可能にしている。長年の実績という土台を大切にしたうえで、新たな技術を導入し、飛躍を続ける。
取材・文/高橋美森
※1 2021年1月~12月、※2 2020年11月~2021年12月
副院長
田中 浩
人工関節センター長
椎木 栄一
医療新聞社
編集部記者の目
中国・四国地方ではトップクラスの人工関節置換術の執刀件数を誇る山口県立総合医療センターでは、さらに高精度な手術の提供を目指して整形外科領域の手術支援ロボットを2台導入した。インタビュー取材を行う前に、椎木栄一人工関節センター長が執刀するMakoによるロボット支援下人工関節置換術の手術を見学させてもらうことができた。医師の経験と高度な科学技術が融合する現場を前にして、心が揺さぶられた。
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